小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第65話 かんじがらめの統治者(5/6)
◆
ゼフォンが紫微殿の執務室に戻ると、老女官が待っていた。
「身体検査の結果――カナリア妃様には、交わった痕は見られませんでした」
ゼフォンは、内心衝撃を受けた。
だが、つとめて平静なまま報告書を受け取った。
「……ご苦労」
老女官が去ったあと、ゼフォンは報告書をにらんでいた。
(カナリアは、汚されていなかった……。
ではなぜ、錯乱したのだ……?
――まさか……予の追及のせいで?
――違う。予の判断は、常に正しくある。
予の言葉ひとつで、宮廷が乱れ、民が揺らぐ。
そんな道理……あってはならぬ)
”皇帝に疑われすぎたあまり、妃が錯乱した”などという話が広まれば、“妃ひとりも救えぬ、皇帝の未熟さ”を晒すことになる。
それは“ただの男の失敗”では済まされず、統治者失格と見なされるのだ。
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ゼフォンが紫微殿の執務室に戻ると、老女官が待っていた。
「身体検査の結果――カナリア妃様には、交わった痕は見られませんでした」
ゼフォンは、内心衝撃を受けた。
だが、つとめて平静なまま報告書を受け取った。
「……ご苦労」
老女官が去ったあと、ゼフォンは報告書をにらんでいた。
(カナリアは、汚されていなかった……。
ではなぜ、錯乱したのだ……?
――まさか……予の追及のせいで?
――違う。予の判断は、常に正しくある。
予の言葉ひとつで、宮廷が乱れ、民が揺らぐ。
そんな道理……あってはならぬ)
”皇帝に疑われすぎたあまり、妃が錯乱した”などという話が広まれば、“妃ひとりも救えぬ、皇帝の未熟さ”を晒すことになる。
それは“ただの男の失敗”では済まされず、統治者失格と見なされるのだ。