小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第66話 紙切れ1枚の別れ(5/5)
◆
恵慈宮《けいじきゅう》の皇太后にも、シャオレイのことが伝わっていた。
長椅子に横たわったまま、皇太后は息をついた。
「あの子……あんなに可愛がってもらいながら、フォンアルを裏切ったのね……。
いったい何が不満だったのかしら……」
皇太后の口ぶりはまるで、行儀の悪い娘への愚痴だった。
「カナリア――いえ、ヤン妃からの贈り物は、蔵の奥へ片付けてちょうだい」
わずかに眉を寄せる皇太后へ、侍女が声をひそめて言った。
「密かに始末されますか……?」
「だめよ。そんなことしたらフォンアルに疎まれるわ。
廃妃にしてないのだから、フォンアルには手放すつもりはないはず」
◆
シャオレイの義実家のヤン家にも、急報が飛び込んでいた。
ヤン当主が、忌々しげに「とんだ疫病神だ!」と吐き捨てた。続けて、家令へ命じた。
「あの女を系譜から削除しろ!」
それからヤン夫人が、ヤン当主へ声を震わせて言った。
「まさか、うちまで連座なんてことは……」
「いや、それはないはずだ。
養女にしたのは、父上のご意思だからな。
かつての筆頭楽師の面子を潰すなど、陛下はなさらない。
――それに、連座になるのであれば、我らはとっくに宮中へ連行されている」
今まで沈黙を守っていたヤン大夫人が、「しばらくは、おとなしくしておきましょう。些細なもめごとも起こしてはダメよ」と皆へ言い含めて、締めくくった。
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恵慈宮《けいじきゅう》の皇太后にも、シャオレイのことが伝わっていた。
長椅子に横たわったまま、皇太后は息をついた。
「あの子……あんなに可愛がってもらいながら、フォンアルを裏切ったのね……。
いったい何が不満だったのかしら……」
皇太后の口ぶりはまるで、行儀の悪い娘への愚痴だった。
「カナリア――いえ、ヤン妃からの贈り物は、蔵の奥へ片付けてちょうだい」
わずかに眉を寄せる皇太后へ、侍女が声をひそめて言った。
「密かに始末されますか……?」
「だめよ。そんなことしたらフォンアルに疎まれるわ。
廃妃にしてないのだから、フォンアルには手放すつもりはないはず」
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シャオレイの義実家のヤン家にも、急報が飛び込んでいた。
ヤン当主が、忌々しげに「とんだ疫病神だ!」と吐き捨てた。続けて、家令へ命じた。
「あの女を系譜から削除しろ!」
それからヤン夫人が、ヤン当主へ声を震わせて言った。
「まさか、うちまで連座なんてことは……」
「いや、それはないはずだ。
養女にしたのは、父上のご意思だからな。
かつての筆頭楽師の面子を潰すなど、陛下はなさらない。
――それに、連座になるのであれば、我らはとっくに宮中へ連行されている」
今まで沈黙を守っていたヤン大夫人が、「しばらくは、おとなしくしておきましょう。些細なもめごとも起こしてはダメよ」と皆へ言い含めて、締めくくった。