小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第68話 刑の執行(2/4)
◆
騒がしかった広場が、50打を超えた頃には静まり返っていた。
そんな中、メイレンは正門の上からすべてを見下ろしていた。
(あやつがビン・ユエン。
ジュンに恨みを持つ者か……)
メイレンがフェイリンの白髪《はくはつ》を見つめているうちに、あることを思い出した。
(そういえば、白髪の鬼が宮中に乱入してきたことがあったな。
たしか、陛下が即位してから数年だったか。
白髪の鬼は、”ユン家の仇だ”と、ほざいておったな……)
そのとき、メイレンの父――リーハイが彼女に近寄ってきた。100打の杖刑は珍しいため、彼も見に来たのだ。
リーハイはメイレンにうやうやしく挨拶をしたあと、打たれている者の顔を見た。
「……奴は!」
「父上のご存知ですか?」
リーハイは舌打ちをした。
「”ビン・ユエン”などではない。
確かウー・レンとか名乗ってた、我が私兵だった者だ。
頭が回って気が利くから、小間使いにしていた。
……あの者を紹介した経理の男から、ジュンの謀反を知らされたのだ。
――まさか……!」
リーハイはすぐさま従者へ、「経理を速やかに捕らえよ。殺すでないぞ」と命じた。
メイレンが、口を開いた。
「……それで合点がいきました。
今回の件は、ユン家の残党が仕掛けた罠ですね。
きっと、ヤン妃をそそのかしたのです。
――おそらくジュンも、そそのかされて謀反を起こしたのでしょう。
ジュンには、そんな知恵はありませぬゆえ」
「ユン家……!?――ユン夫人の一族か」
メイレンは、皮肉気に笑った。
「ユン家の残党が、我が一族を潰そうとしているのです。
……おかげで、私は廃后寸前です」
「なんてことだ」
リーハイは唇を噛みしめたが、ふと笑みを浮かべた。
「――だが、ダン・ゼフォンの目は曇っているな。
こんなことにも気づかないとは」
「やはり、この国を任せてはおけませんね」
ふたりは視線を交わすと、言葉なくうなずいた。
――この国の実権は、我らが握るしかない、と。
◆
騒がしかった広場が、50打を超えた頃には静まり返っていた。
そんな中、メイレンは正門の上からすべてを見下ろしていた。
(あやつがビン・ユエン。
ジュンに恨みを持つ者か……)
メイレンがフェイリンの白髪《はくはつ》を見つめているうちに、あることを思い出した。
(そういえば、白髪の鬼が宮中に乱入してきたことがあったな。
たしか、陛下が即位してから数年だったか。
白髪の鬼は、”ユン家の仇だ”と、ほざいておったな……)
そのとき、メイレンの父――リーハイが彼女に近寄ってきた。100打の杖刑は珍しいため、彼も見に来たのだ。
リーハイはメイレンにうやうやしく挨拶をしたあと、打たれている者の顔を見た。
「……奴は!」
「父上のご存知ですか?」
リーハイは舌打ちをした。
「”ビン・ユエン”などではない。
確かウー・レンとか名乗ってた、我が私兵だった者だ。
頭が回って気が利くから、小間使いにしていた。
……あの者を紹介した経理の男から、ジュンの謀反を知らされたのだ。
――まさか……!」
リーハイはすぐさま従者へ、「経理を速やかに捕らえよ。殺すでないぞ」と命じた。
メイレンが、口を開いた。
「……それで合点がいきました。
今回の件は、ユン家の残党が仕掛けた罠ですね。
きっと、ヤン妃をそそのかしたのです。
――おそらくジュンも、そそのかされて謀反を起こしたのでしょう。
ジュンには、そんな知恵はありませぬゆえ」
「ユン家……!?――ユン夫人の一族か」
メイレンは、皮肉気に笑った。
「ユン家の残党が、我が一族を潰そうとしているのです。
……おかげで、私は廃后寸前です」
「なんてことだ」
リーハイは唇を噛みしめたが、ふと笑みを浮かべた。
「――だが、ダン・ゼフォンの目は曇っているな。
こんなことにも気づかないとは」
「やはり、この国を任せてはおけませんね」
ふたりは視線を交わすと、言葉なくうなずいた。
――この国の実権は、我らが握るしかない、と。