小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第69話 本当の愛の終わり(6/6)


 シャオレイを、絶望が満たしていた。彼女は、かすかに震える声で言った。
「――殿下にひとつ、申し上げたいことが……。
よろしいでしょうか?」

「なんだ?」

「かつて……殿下は私に“さえずるしか能のない、愚かな小鳥”とおっしゃいました。
そのことについて、お礼を申し上げたいのです……」

「覚えておらぬな」

 メイレンの言うことも、もっともだった。その言葉を言ったのは、前世のメイレンだからだ。

 それでもシャオレイは、今伝えたかった。
「鷹になれるように、爪を研いでみました。
でも……しょせん私は、ちっぽけな小鳥だったのです。
殿下に気づかせていただき、感謝しております……」
 シャオレイは、頭を深く下げた。

 シャオレイの気が触れたのだと、メイレンは思い、妄言に付き合ってやった。
「そうだな……そなたは小鳥だ。
ただ、美しくさえずっているだけでよかったのだ」

 シャオレイはうなずいた。――すべてを諦めたように。

 メイレンは、部屋を出た。それからメイレン付きの内侍が、倒れたミンシーを運び出していった。

 扉が閉まり、部屋はまた、薄暗闇に戻った。

 シャオレイは、その場に座り込んでいた。悲しいはずなのに、涙が一滴も出てこなかった。
(私……鳥籠の中で、いい気になって踊ってただけだったんだわ。
夫には拒まれ、私を愛してくれて命がけで守ってくれたフェイリンは……死なせてしまった。
私がしたことは、何ひとつ報われなかった。
いえ、すべて壊してしまっただけ……私が)
 自分の存在意義を見失い、シャオレイの瞳から、光が失せた。

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