小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―

第71話 よみがえる熱

第71話 よみがえる熱(1/6)


 冷宮の宦官たちは、追い詰められているシャオレイを見過ごしていた。問われもしないのに、わざわざ妃の地獄を、皇帝へ伝える者などいない。
 皇帝が目を向けぬ限り、冷宮とは“この世に存在しない部屋”だった。

 そんなシャオレイの惨状を――ゼフォンに想像がつかないわけがなかった。
 それでもゼフォンは、何も尋ねようとしなかった。
 それが、どれほど無責任で、どれほど優しさから遠い行為かも、ゼフォンは知らないふりをしていた。



 シャオレイが冷宮に送られてから、10日が過ぎた。

 天高く昇った月の明かりが、冷宮を刺していた。
 風が扉や窓を叩き、遠くで廃妃の笑い声とも叫び声ともつかない声が響く。

 シャオレイは暗闇の中で敷布にくるまったまま、部屋の隅に横たわっていた。寒さと飢えと渇きで、意識が遠のいていた。
 シャオレイの手は、フェイリンから贈られたかんざしを、しっかりと握りしめている。
(あなたって、馬鹿よね。
おとなしく杖刑なんか受けちゃって……。
さっさと逃げれば良かったのに……。
そもそも、私なんか見捨てていれば、今頃すんなり仇討ちを遂げられてたのに……)

 シャオレイは、皮肉げに笑みを浮かべる。
(私の色仕掛けにぐらついちゃったの……?)

 すぐに、悲しみで顔がゆがむ。
(――違う。
馬鹿でお人よしだから、死ぬのよ……あなたは。
いつも不愛想で偉そうで上から目線のくせに……)

 シャオレイは、急にむせた。咳のしすぎで喉は焼け、胸がギシギシと痛んだ。

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