小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第74話 いちばん大事な人(3/7)
部屋に戻ってきたシャオレイは、煎じ薬と重湯《おもゆ※》、ぬるま湯を入れたたらいを両手に持っていた。 [※お粥の上澄み液]
フェイリンが身を起こそうとしたのを見て、シャオレイはあわてて制した。
「だめよ。1ヶ月は動くなって、お医者様に言われてるんだから」
シャオレイは手巾を湯に浸してしぼり、フェイリンの顔を拭いた。乾いた血や汚れを、丁寧にぬぐっていく。
それからシャオレイは、碗から煎じ薬をレンゲ匙ですくい、軽く息を吹きかけて冷ました。うつぶせのままのフェイリンの口へ、匙を運んだ。
重湯も同様にして、フェイリンに飲ませた。
フェイリンが、ぼそりと呟く。
「雛じゃあるまいし…」
「雛のほうが可愛いわ」
無邪気に笑うシャオレイは、お構いなしに匙を差し出し続ける。
いつものフェイリンの無愛想な物言いが、シャオレイには嬉しかった。
だが、フェイリンは横目でシャオレイをにらんだ。
(こいつは本当に鈍いな……。俺を男だと思っていない……すっかり母親気取りだ)
シャオレイは重湯をフェイリンへ飲ませながら、ふと口を開いた。
「今頃、ミアルも彼にこうしてあげてるのかしら……」
”彼”とは、ジュンのことだ。
ジュンはフェイリンに斬りつけられ、重傷を負った。シャオレイたちが会ったとき、まったく動けなかった。
そのとたん、フェイリンの顔が不快にゆがんだ。ジュンと一緒にされたくないからだ。
「やっぱり自分で食べる」
身を起こそうとするフェイリンの肩を、シャオレイが手で押さえた。
「だ・め・よ!」
フェイリンは諦めて、シャオレイに従った。
部屋に戻ってきたシャオレイは、煎じ薬と重湯《おもゆ※》、ぬるま湯を入れたたらいを両手に持っていた。 [※お粥の上澄み液]
フェイリンが身を起こそうとしたのを見て、シャオレイはあわてて制した。
「だめよ。1ヶ月は動くなって、お医者様に言われてるんだから」
シャオレイは手巾を湯に浸してしぼり、フェイリンの顔を拭いた。乾いた血や汚れを、丁寧にぬぐっていく。
それからシャオレイは、碗から煎じ薬をレンゲ匙ですくい、軽く息を吹きかけて冷ました。うつぶせのままのフェイリンの口へ、匙を運んだ。
重湯も同様にして、フェイリンに飲ませた。
フェイリンが、ぼそりと呟く。
「雛じゃあるまいし…」
「雛のほうが可愛いわ」
無邪気に笑うシャオレイは、お構いなしに匙を差し出し続ける。
いつものフェイリンの無愛想な物言いが、シャオレイには嬉しかった。
だが、フェイリンは横目でシャオレイをにらんだ。
(こいつは本当に鈍いな……。俺を男だと思っていない……すっかり母親気取りだ)
シャオレイは重湯をフェイリンへ飲ませながら、ふと口を開いた。
「今頃、ミアルも彼にこうしてあげてるのかしら……」
”彼”とは、ジュンのことだ。
ジュンはフェイリンに斬りつけられ、重傷を負った。シャオレイたちが会ったとき、まったく動けなかった。
そのとたん、フェイリンの顔が不快にゆがんだ。ジュンと一緒にされたくないからだ。
「やっぱり自分で食べる」
身を起こそうとするフェイリンの肩を、シャオレイが手で押さえた。
「だ・め・よ!」
フェイリンは諦めて、シャオレイに従った。