小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第74話 いちばん大事な人(6/7)


 シャオレイは碗を片付けたあと、フェイリンの髪を濡らした手巾で拭き始めた。
「――ラン・ジュンは、どうして私たちを助けてくれたのかしら?」

「俺たちに借りを作りたくなかったんだろう」

「それだけ?
……私はミアルに頼まれたからだと思うわ。
ラン・ジュンの独断なら、あの証文が私に届かないもの。
――彼は本気でミアルに惚れてるのね……」
 シャオレイは、笑い声をこぼした。

 フェイリンは興味を示すこともなく、目を閉じた。他人の恋路など、どうでもいいからだ。
 だが、シャオレイが笑ってよく喋っていることには、安堵を覚えていた。
 冷宮から救出したときのシャオレイは、衰弱して怯えていたからだ。
 あの瞬間、シャオレイの心が壊れてしまったかと、フェイリンは本気で恐れた。
 そんなフェイリンの脳裏に、ある出来事がよみがえる。
 ――シャオレイがフェイリンへした、口づけだ。
(あれは何だったんだ?
――無意識か……?)
 続いて、シャオレイの衣を脱がした記憶も、フェイリンによみがえってきた。フェイリンはわずかに眉を寄せながら、自分に言い訳をした。
(緊急時に、ボヤボヤしているわけにはいかない。
――それに、シャオレイは青楼出身だ。
ああいうことには慣れてるだろう)

< 375 / 492 >

この作品をシェア

pagetop