小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第75話 発火しかける衝動(2/6)
◆
いつの間にか夕暮れが迫っていることに、シャオレイは気づいた。
シャオレイは行灯《あんどん》に火をつけたあと、部屋を出ていった。
商会は距離があるため、女将はまだ戻ってきていなかった。
部屋に戻ったシャオレイは、湯の入ったたらいを床に置き、フェイリンに声をかけた。
「薬を塗り直しましょう」
フェイリンはわずかに眉をひそめながらも、うなずいた。
シャオレイが布団をめくり、フェイリンの背中の包帯を外す。すると、痛々しい傷跡が現れた。
シャオレイは湯で濡らした手巾を使い、フェイリンの傷に触れないように、丁寧に汚れを拭き取っていく。それから、フェイリンの背中へ軟膏を塗っていく。
不意に、シャオレイへフェイリンの右手が伸びてきた。
「貸せ」
そう言ってフェイリンは、受け取った手巾で自分の胸元を拭き、鞭の痕へ軟膏を塗った。
それが終わると、シャオレイはフェイリンの腰に巻かれている晒しの端を、指先でつまんだ。
その瞬間――フェイリンの肩がわずかに震えた。
再び、フェイリンの手がシャオレイへ伸びる。
「貸せ……」
フェイリンの声は、少し低かった。
「私は気にしないわ」
そう告げたシャオレイの手を、フェイリンの手が制した。
シャオレイが驚いてフェイリンを見ると、彼の目は熱を帯びていた。
一拍置いたあと、フェイリンがぽつりと言った。
「そなたに触れられたら、欲しくなる。――分からないのか?」
シャオレイは、言葉を失った。頬が熱くなるのが、自分でも分かる。
無言のまま、フェイリンの手から、そっと自分の手を外した。それからフェイリンに軟膏を渡し、部屋を出ていった。
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いつの間にか夕暮れが迫っていることに、シャオレイは気づいた。
シャオレイは行灯《あんどん》に火をつけたあと、部屋を出ていった。
商会は距離があるため、女将はまだ戻ってきていなかった。
部屋に戻ったシャオレイは、湯の入ったたらいを床に置き、フェイリンに声をかけた。
「薬を塗り直しましょう」
フェイリンはわずかに眉をひそめながらも、うなずいた。
シャオレイが布団をめくり、フェイリンの背中の包帯を外す。すると、痛々しい傷跡が現れた。
シャオレイは湯で濡らした手巾を使い、フェイリンの傷に触れないように、丁寧に汚れを拭き取っていく。それから、フェイリンの背中へ軟膏を塗っていく。
不意に、シャオレイへフェイリンの右手が伸びてきた。
「貸せ」
そう言ってフェイリンは、受け取った手巾で自分の胸元を拭き、鞭の痕へ軟膏を塗った。
それが終わると、シャオレイはフェイリンの腰に巻かれている晒しの端を、指先でつまんだ。
その瞬間――フェイリンの肩がわずかに震えた。
再び、フェイリンの手がシャオレイへ伸びる。
「貸せ……」
フェイリンの声は、少し低かった。
「私は気にしないわ」
そう告げたシャオレイの手を、フェイリンの手が制した。
シャオレイが驚いてフェイリンを見ると、彼の目は熱を帯びていた。
一拍置いたあと、フェイリンがぽつりと言った。
「そなたに触れられたら、欲しくなる。――分からないのか?」
シャオレイは、言葉を失った。頬が熱くなるのが、自分でも分かる。
無言のまま、フェイリンの手から、そっと自分の手を外した。それからフェイリンに軟膏を渡し、部屋を出ていった。