小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第76話 真昼の微熱
第76話 真昼の微熱(1/5)
◆
新年を迎え、都は祝いの装飾と声でいっぱいだった。
ゼフォンの密偵の話も聞かれなくなり、シャオレイたちにはつかの間の平穏が訪れていた。
その間フェイリンは、回復を早める薬湯を飲み続けていた。だが、副作用の発熱でずっと寝台でぐったりしていた。
お湯の代わりに氷水を入れた陶製の湯たんぽが、フェイリンの額に当てられていた。そこには、うっすらと汗が浮かんでいた。
シャオレイは丸椅子に腰かけ、目を閉じたままのフェイリンへうちわをあおいでいた。
柔らかい風が、フェイリンの頬を撫でる。
(触れてないから大丈夫よね……。
それとも、これでもフェイリンを悩ませてしまうかしら)
シャオレイはそう思い、うちわを置いた。
それから、懐から封筒を取り出す。その中から紙幣の頭を出して、眺めた。
(すべてが終わったら、どうしよう……?
回帰転生した目的も失ってしまったし……)
「――商売でも始めようかしら……」
シャオレイは、ぽつりと呟いた。
「ここから出て行くのか?」
それは、思いがけず返ってきた、フェイリンの声。
シャオレイは眉を上げながら、フェイリンを見た。
フェイリンの目はどこか不安げで、見捨てられた野良犬のようだった。
「違うわ……すべてが終わったら、の話よ」
シャオレイがそう言うと、フェイリンはいつもの無表情に戻って目をそらした。
そんな彼を見て、シャオレイは思わずほほ笑んだ。
(安心したのかしら?)
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新年を迎え、都は祝いの装飾と声でいっぱいだった。
ゼフォンの密偵の話も聞かれなくなり、シャオレイたちにはつかの間の平穏が訪れていた。
その間フェイリンは、回復を早める薬湯を飲み続けていた。だが、副作用の発熱でずっと寝台でぐったりしていた。
お湯の代わりに氷水を入れた陶製の湯たんぽが、フェイリンの額に当てられていた。そこには、うっすらと汗が浮かんでいた。
シャオレイは丸椅子に腰かけ、目を閉じたままのフェイリンへうちわをあおいでいた。
柔らかい風が、フェイリンの頬を撫でる。
(触れてないから大丈夫よね……。
それとも、これでもフェイリンを悩ませてしまうかしら)
シャオレイはそう思い、うちわを置いた。
それから、懐から封筒を取り出す。その中から紙幣の頭を出して、眺めた。
(すべてが終わったら、どうしよう……?
回帰転生した目的も失ってしまったし……)
「――商売でも始めようかしら……」
シャオレイは、ぽつりと呟いた。
「ここから出て行くのか?」
それは、思いがけず返ってきた、フェイリンの声。
シャオレイは眉を上げながら、フェイリンを見た。
フェイリンの目はどこか不安げで、見捨てられた野良犬のようだった。
「違うわ……すべてが終わったら、の話よ」
シャオレイがそう言うと、フェイリンはいつもの無表情に戻って目をそらした。
そんな彼を見て、シャオレイは思わずほほ笑んだ。
(安心したのかしら?)