小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第79話 恋の歌にすがる皇帝(3/4)
◆
同じ頃、華宵宮《かしょうきょく》にいるメイレンは、ゼフォンをあざ笑っていた。
「ようやく気づいたか、陛下は――」
メイレンもまた、フェイリンの動きを読み、彼が北方に潜んでいると踏んでいた。
すでに、密かに配下たちを北方へ放ってある。
だが――笑みとは裏腹に、メイレンの胸の内では焦りが渦巻いていた。
ゼフォンが新たに高官の娘を迎え、貴妃としたのだ。
そのうちにメイレンを廃して、貴妃を立后《りっこう※》するつもりなのは、明らかだった。 [※皇后を定めること]
さらに、文武両道の庶子の第2皇子が立太子されるという、噂も流れている。
極めつけは、メイレンの父――ラン・リーハイが、突然南方へ左遷されたのだ。
かつて宮中警備を担った右羽林軍大将軍《ううりんぐんたいしょうぐん》は、今や藩鎮《はんちん※》の節度副使《せつどふくし※※》だ。[※地方に置かれた大軍団][※※藩鎮の副長官]
リーハイは、沼地の守備と治安維持へと追いやられていた。
このままでは、ラン家は滅亡する――それでもメイレンは、あでやかなほほ笑みをたたえてぽつりと言った。
「陛下のご機嫌伺いに、”手土産”でも用意するか……」
北方に潜む配下へあてた密書を、メイレンは書き始めた。
◆
リーハイの左遷――それは、フェイリンの仕業だった。
シャオレイと離れていた2ヶ月半、フェイリンはリーハイの私兵団に潜り込んでいた。
そこで、フェイリンの協力者の経理係とフェイリン自身が暴いた、リーハイの不正。それを告発する密書を受け取った老文官が、1月下旬になってから上奏したのだ。
事態は、即座に動いた。
数日のうちに、リーハイの左遷が決定され、都の要所を抑えていたラン家の兵も地方へ配置換えをされた。
リーハイの罪は、“軍紀の乱れ”に留められていた。だが、それは粛清の秒読みに過ぎないことを、宮廷の誰しもが察していた。
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同じ頃、華宵宮《かしょうきょく》にいるメイレンは、ゼフォンをあざ笑っていた。
「ようやく気づいたか、陛下は――」
メイレンもまた、フェイリンの動きを読み、彼が北方に潜んでいると踏んでいた。
すでに、密かに配下たちを北方へ放ってある。
だが――笑みとは裏腹に、メイレンの胸の内では焦りが渦巻いていた。
ゼフォンが新たに高官の娘を迎え、貴妃としたのだ。
そのうちにメイレンを廃して、貴妃を立后《りっこう※》するつもりなのは、明らかだった。 [※皇后を定めること]
さらに、文武両道の庶子の第2皇子が立太子されるという、噂も流れている。
極めつけは、メイレンの父――ラン・リーハイが、突然南方へ左遷されたのだ。
かつて宮中警備を担った右羽林軍大将軍《ううりんぐんたいしょうぐん》は、今や藩鎮《はんちん※》の節度副使《せつどふくし※※》だ。[※地方に置かれた大軍団][※※藩鎮の副長官]
リーハイは、沼地の守備と治安維持へと追いやられていた。
このままでは、ラン家は滅亡する――それでもメイレンは、あでやかなほほ笑みをたたえてぽつりと言った。
「陛下のご機嫌伺いに、”手土産”でも用意するか……」
北方に潜む配下へあてた密書を、メイレンは書き始めた。
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リーハイの左遷――それは、フェイリンの仕業だった。
シャオレイと離れていた2ヶ月半、フェイリンはリーハイの私兵団に潜り込んでいた。
そこで、フェイリンの協力者の経理係とフェイリン自身が暴いた、リーハイの不正。それを告発する密書を受け取った老文官が、1月下旬になってから上奏したのだ。
事態は、即座に動いた。
数日のうちに、リーハイの左遷が決定され、都の要所を抑えていたラン家の兵も地方へ配置換えをされた。
リーハイの罪は、“軍紀の乱れ”に留められていた。だが、それは粛清の秒読みに過ぎないことを、宮廷の誰しもが察していた。