小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第79話 恋の歌にすがる皇帝(4/4)
◆
フェイリンは沈みゆくラン家の情報を、経理係からの文《ふみ》で知った。経理係は、リーハイに捕らえられる寸前で、無事逃げ出していた。
(ダン・ゼフォン……仕事が速いな。――女の扱いは最低だが)
2月に入り、背中の傷の抜糸も済んで、フェイリンはようやく動けるようになった。傷が痛むため、移動以外は寝台でうつぶせになっていた。
だが、なまった体を鍛え直すため、腕立てふせをしていた。
そばで丸椅子に腰かけているシャオレイが、口を開いた。
「ラン・リーハイが左遷されたということは、皇后の焦りも一層強くなるわね」
「ああ……」
「謀反が……間違いなく起きるわね。巡幸中に」
「メイレンが獲物を狙っているときに、仕留めてやる」
シャオレイはふと考えた。
(出来事が前世とずいぶん変わってしまったわ。
陛下は大丈夫かしら……)
だが、すぐに考えを振り払った。
(いえ……彼には禁軍も、精鋭の羽林軍もついてる。
私なんかが気にするのは無意味だわ)
シャオレイは、ちらりとフェイリンを見た。
すべての爪が剥がされたフェイリンの両手は、包帯巻かれていて痛々しい。
フェイリンの死が急に現実味を帯びてきて、シャオレイの鼓動が嫌な音を立てる。
(あれじゃ、刀はろくに振れないんじゃ……)
「ねえ……どうしてあなたの協力者は、杖刑を受けたあなたを助けに来なかったの?」
「俺の――いや、俺たちの目的はラン家を滅することだ。
お互いに協力者ではあるが、各々の命には関わらん。
誰かひとりでも成し遂げられれば、それでいい」
フェイリンは腕立てふせを休めることもなく、淡々と言った。
それがシャオレイには衝撃だった。
(陛下と違って、フェイリンを守る者はいない……。
いくら私に”予言”ができるとはいえ、だいぶ運命がずれてるから、役に立たない)
シャオレイは、フェイリンに気づかれないように、大きく息をついた。
(”愛が壊れるかも”とか、”幸せになるのが怖い”なんて……震えてる場合じゃないわ)
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フェイリンは沈みゆくラン家の情報を、経理係からの文《ふみ》で知った。経理係は、リーハイに捕らえられる寸前で、無事逃げ出していた。
(ダン・ゼフォン……仕事が速いな。――女の扱いは最低だが)
2月に入り、背中の傷の抜糸も済んで、フェイリンはようやく動けるようになった。傷が痛むため、移動以外は寝台でうつぶせになっていた。
だが、なまった体を鍛え直すため、腕立てふせをしていた。
そばで丸椅子に腰かけているシャオレイが、口を開いた。
「ラン・リーハイが左遷されたということは、皇后の焦りも一層強くなるわね」
「ああ……」
「謀反が……間違いなく起きるわね。巡幸中に」
「メイレンが獲物を狙っているときに、仕留めてやる」
シャオレイはふと考えた。
(出来事が前世とずいぶん変わってしまったわ。
陛下は大丈夫かしら……)
だが、すぐに考えを振り払った。
(いえ……彼には禁軍も、精鋭の羽林軍もついてる。
私なんかが気にするのは無意味だわ)
シャオレイは、ちらりとフェイリンを見た。
すべての爪が剥がされたフェイリンの両手は、包帯巻かれていて痛々しい。
フェイリンの死が急に現実味を帯びてきて、シャオレイの鼓動が嫌な音を立てる。
(あれじゃ、刀はろくに振れないんじゃ……)
「ねえ……どうしてあなたの協力者は、杖刑を受けたあなたを助けに来なかったの?」
「俺の――いや、俺たちの目的はラン家を滅することだ。
お互いに協力者ではあるが、各々の命には関わらん。
誰かひとりでも成し遂げられれば、それでいい」
フェイリンは腕立てふせを休めることもなく、淡々と言った。
それがシャオレイには衝撃だった。
(陛下と違って、フェイリンを守る者はいない……。
いくら私に”予言”ができるとはいえ、だいぶ運命がずれてるから、役に立たない)
シャオレイは、フェイリンに気づかれないように、大きく息をついた。
(”愛が壊れるかも”とか、”幸せになるのが怖い”なんて……震えてる場合じゃないわ)