小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第80話 特別な贈り物
第80話 特別な贈り物(1/3)
◆
禁軍統領の私邸の書斎へ、夕食を終えたシン統領がやってきた。
不意に、暗がりから「シン統領」と声が響く。
名を呼ばれたシン統領が驚いて振り向くと、そこには黒ずくめの男――フェイリンが立っていた。
フェイリンの傷は、治りを早める薬湯の服用で癒えた。今では、こうして忍び込めるほどになっている。
フェイリンは、すぐに自らの佩玉《はいぎょく》を差し出した。
シン統領はそれを手に取り、顔色を変えた。
「これは確か……ユン家の――」
「ユン・フェイリンです。
ご無沙汰しております」
フェイリンは幼い頃、実家で何度かシン統領と会っていたのだ。
シン統領は、佩玉をフェイリンに返して言った。
「生き残りがいたとは聞いていたが……。
それで、何用だ?」
「シン統領と手を組みたいと思いまして。
去年のラン・ジュンが起こした謀反――ここも襲撃されましたね?
ラン・ジュンの配下に」
「――何の話だか分からんな」
警戒心をあらわにするシン統領へ、フェイリンは続けた。
「ラン・ジュンの謀反の兆候を、ラン・リーハイに知らせたのは私です。
一時期、ラン家の私兵団に潜入していましたので」
その一言に、シン統領の顔が険しくなった。
フェイリンが続ける。
「ラン・リーハイと取引をされたでしょう?
シン統領の私邸襲撃を、お互いに口外しないと」
「手を組むといったな……?
目的は、ラン・リーハイの排除か」
「――シン統領もそうでしょう?
火種は消しておきたいはず。
ラン・リーハイが左遷され、廃后と立太子の噂が広まっている。
となると……ラン家は帝位を奪うはず。
もし彼らが実権を持ったら、真っ先に排除されるのは――」
シン統領がぴたりと制した。
「ラン殿が左遷されたのは、ユン殿の仕業だな?」
「ご想像にお任せします」
「……それで?俺は何をすればいい?」
フェイリンは声を潜め、ささやいた。
「3月の巡幸で――……」
◆
禁軍統領の私邸の書斎へ、夕食を終えたシン統領がやってきた。
不意に、暗がりから「シン統領」と声が響く。
名を呼ばれたシン統領が驚いて振り向くと、そこには黒ずくめの男――フェイリンが立っていた。
フェイリンの傷は、治りを早める薬湯の服用で癒えた。今では、こうして忍び込めるほどになっている。
フェイリンは、すぐに自らの佩玉《はいぎょく》を差し出した。
シン統領はそれを手に取り、顔色を変えた。
「これは確か……ユン家の――」
「ユン・フェイリンです。
ご無沙汰しております」
フェイリンは幼い頃、実家で何度かシン統領と会っていたのだ。
シン統領は、佩玉をフェイリンに返して言った。
「生き残りがいたとは聞いていたが……。
それで、何用だ?」
「シン統領と手を組みたいと思いまして。
去年のラン・ジュンが起こした謀反――ここも襲撃されましたね?
ラン・ジュンの配下に」
「――何の話だか分からんな」
警戒心をあらわにするシン統領へ、フェイリンは続けた。
「ラン・ジュンの謀反の兆候を、ラン・リーハイに知らせたのは私です。
一時期、ラン家の私兵団に潜入していましたので」
その一言に、シン統領の顔が険しくなった。
フェイリンが続ける。
「ラン・リーハイと取引をされたでしょう?
シン統領の私邸襲撃を、お互いに口外しないと」
「手を組むといったな……?
目的は、ラン・リーハイの排除か」
「――シン統領もそうでしょう?
火種は消しておきたいはず。
ラン・リーハイが左遷され、廃后と立太子の噂が広まっている。
となると……ラン家は帝位を奪うはず。
もし彼らが実権を持ったら、真っ先に排除されるのは――」
シン統領がぴたりと制した。
「ラン殿が左遷されたのは、ユン殿の仕業だな?」
「ご想像にお任せします」
「……それで?俺は何をすればいい?」
フェイリンは声を潜め、ささやいた。
「3月の巡幸で――……」