小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第81話 未来への約束
第81話 未来への約束(1/5)
◆
2月も半ばを過ぎた。
シャオレイとフェイリンは、ニンチュアンの街道から外れた裏通りの貸し家で、ひっそりと暮らしていた。
フェイリンはメイレン暗殺をなすべく、3月の巡幸に紛れ込む算段を立てていた。それから配下と共に、刀の腕を鍛え直していた。
◆
この日もシャオレイとフェイリンは、連れ立って市場を歩いていた。
シャオレイは布小物の屋台に寄り、先日注文していた香り袋を2つ受け取った。その出来栄えに目を輝かせ、嬉しそうに手持ちの巾着袋にしまった。
フェイリンはさりげなく周りを見回して、尾行が付いていないかを警戒していた。
シャオレイは楽しそうに「もう1軒寄りたいの」と言い、香屋《こうや》へ向かった。
道すがら、シャオレイがフェイリンに尋ねた。
「ねえ、フェイリンはどんな香りが好き?」
フェイリンは少し考えて答えた。
「――マンダラゲだな」
「そんな香りあったかしら……?」
「毒草だ」
「……毒以外でないの?」
「考えたこともないな」
シャオレイは一瞬白けた顔をしたあと、フェイリンを放っておくことにした。
香屋《こうや》に着いたシャオレイは、女性の店主と一緒に香を選び始めた。
フェイリンは店の入口の近くで、外を警戒していた。
売り台には小瓶がずらりと並び、シャオレイはひとつずつ熱心に香りを確かめる。
それから、フェイリンへ近寄り、伽羅《きゃら》と梅を合わせた香を彼の鼻先に近づけた。
「ねえ、これはどう?」
シャオレイの浮かれた様子に、フェイリンは違和感を覚えつつも、香を嗅いでから言った。
「悪くない」
「じゃあ、これをいただくわ」
シャオレイは店主に嬉しそうに言った。それから、巾着袋から2つの香り袋を取り出し、店主に香を詰めてもらった。
フェイリンはその様子を横目で見ていた。
(誰かへの贈り物か……?)
フェイリンの視線に気付いたシャオレイが、「見ちゃダメ」と楽しげに言いながら、彼の体をくるりと後ろ向きに回した。
その瞬間、フェイリンは香り袋の贈り先を察した。
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2月も半ばを過ぎた。
シャオレイとフェイリンは、ニンチュアンの街道から外れた裏通りの貸し家で、ひっそりと暮らしていた。
フェイリンはメイレン暗殺をなすべく、3月の巡幸に紛れ込む算段を立てていた。それから配下と共に、刀の腕を鍛え直していた。
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この日もシャオレイとフェイリンは、連れ立って市場を歩いていた。
シャオレイは布小物の屋台に寄り、先日注文していた香り袋を2つ受け取った。その出来栄えに目を輝かせ、嬉しそうに手持ちの巾着袋にしまった。
フェイリンはさりげなく周りを見回して、尾行が付いていないかを警戒していた。
シャオレイは楽しそうに「もう1軒寄りたいの」と言い、香屋《こうや》へ向かった。
道すがら、シャオレイがフェイリンに尋ねた。
「ねえ、フェイリンはどんな香りが好き?」
フェイリンは少し考えて答えた。
「――マンダラゲだな」
「そんな香りあったかしら……?」
「毒草だ」
「……毒以外でないの?」
「考えたこともないな」
シャオレイは一瞬白けた顔をしたあと、フェイリンを放っておくことにした。
香屋《こうや》に着いたシャオレイは、女性の店主と一緒に香を選び始めた。
フェイリンは店の入口の近くで、外を警戒していた。
売り台には小瓶がずらりと並び、シャオレイはひとつずつ熱心に香りを確かめる。
それから、フェイリンへ近寄り、伽羅《きゃら》と梅を合わせた香を彼の鼻先に近づけた。
「ねえ、これはどう?」
シャオレイの浮かれた様子に、フェイリンは違和感を覚えつつも、香を嗅いでから言った。
「悪くない」
「じゃあ、これをいただくわ」
シャオレイは店主に嬉しそうに言った。それから、巾着袋から2つの香り袋を取り出し、店主に香を詰めてもらった。
フェイリンはその様子を横目で見ていた。
(誰かへの贈り物か……?)
フェイリンの視線に気付いたシャオレイが、「見ちゃダメ」と楽しげに言いながら、彼の体をくるりと後ろ向きに回した。
その瞬間、フェイリンは香り袋の贈り先を察した。