小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第81話 未来への約束(2/5)
◆
貸し家へ戻り、なんとなくそわそわしているフェイリンのもとへ、シャオレイが近寄ってきた。
シャオレイはハサミを手にして、はにかみながら言った。
「あなたの髪が欲しいの……」
フェイリンは目を見開いた。
髪は両親から授かった、神聖な物だ。それを贈るのは、命のかけらを贈ることと同義だった。
無表情を装いながらも、フェイリンは受け取ったハサミで、髪を少しだけ切り取った。
シャオレイは、受け取ったフェイリンの髪をたらいの水に浸した。すると染料が落とされ、フェイリン本来の白髪《はくはつ》へ戻っていく。
フェイリンの視線に気づいたシャオレイが、そっと言った。
「白いほうがいいわ」
その言葉に、フェイリンは驚いた。彼にとって自分の白髪《はくはつ》は、忌むべきものだったからだ。
(俺ひとりだけが、生き残った罪。
髪に刻まれた喪の色だと思っていたが――)
シャオレイは、その色がいいと言ってくれたのだ。
フェイリンの胸の奥が、じくじくと痛む。それが罪の痛みか幸福の痛みなのか――彼には分からなかった。
シャオレイも、自らの髪を少し切り落とした。
それから、互いの髪の房を寄り添わせて、銀の糸で結んだ。
それを2つ作り、市場の屋台で買ったそれぞれの香り袋へ納めた。
髪を切って結ぶのは、ふたりの魂を結び、生死を共にする神聖な儀式だ。体を許すことよりも、重い意味を持つ。
だが、シャオレイにはもうひとつの意図があった。
(――もし、私がまた死んで回帰転生させられてしまっても、フェイリンの魂が私をそばに呼び戻してくれるかもしれない。
だからもう、小鳥の呪いなんか怖くないわ)
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貸し家へ戻り、なんとなくそわそわしているフェイリンのもとへ、シャオレイが近寄ってきた。
シャオレイはハサミを手にして、はにかみながら言った。
「あなたの髪が欲しいの……」
フェイリンは目を見開いた。
髪は両親から授かった、神聖な物だ。それを贈るのは、命のかけらを贈ることと同義だった。
無表情を装いながらも、フェイリンは受け取ったハサミで、髪を少しだけ切り取った。
シャオレイは、受け取ったフェイリンの髪をたらいの水に浸した。すると染料が落とされ、フェイリン本来の白髪《はくはつ》へ戻っていく。
フェイリンの視線に気づいたシャオレイが、そっと言った。
「白いほうがいいわ」
その言葉に、フェイリンは驚いた。彼にとって自分の白髪《はくはつ》は、忌むべきものだったからだ。
(俺ひとりだけが、生き残った罪。
髪に刻まれた喪の色だと思っていたが――)
シャオレイは、その色がいいと言ってくれたのだ。
フェイリンの胸の奥が、じくじくと痛む。それが罪の痛みか幸福の痛みなのか――彼には分からなかった。
シャオレイも、自らの髪を少し切り落とした。
それから、互いの髪の房を寄り添わせて、銀の糸で結んだ。
それを2つ作り、市場の屋台で買ったそれぞれの香り袋へ納めた。
髪を切って結ぶのは、ふたりの魂を結び、生死を共にする神聖な儀式だ。体を許すことよりも、重い意味を持つ。
だが、シャオレイにはもうひとつの意図があった。
(――もし、私がまた死んで回帰転生させられてしまっても、フェイリンの魂が私をそばに呼び戻してくれるかもしれない。
だからもう、小鳥の呪いなんか怖くないわ)