小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第6章 鳥籠
第83話 取り戻した瑠璃色の小鳥
第83話 取り戻した瑠璃色の小鳥(1/6)
◆
大河を船団が進む中、ゼフォンは御座船《ござぶね》の御座所《ござしょ※》で茶を飲んでいた。 [※皇帝の居室]
チャオ内侍が「密偵がご報告申し上げたいと」と、声をひそめて伝えた。
ゼフォンが「通せ」と言うと、黒ずくめの男が音もなく入ってきて膝をついた。
「ユン・フェイリンとヤン妃の居場所を、確認いたしました。
ニンチュアン西の宿場町にございます。
本日、仕留めにかかりましたが――ラン氏の刺客集団に先を越され、ヤン妃を奪われました」
ゼフォンの表情が険しくなった瞬間、密偵はさらに頭を深く下げて続けた。
「私どもの失態でございます。
どうか罰をお与えください」
ゼフォンは息をついて、「報告を続けよ」と言った。
「……追跡した者からの報告では、ヤン妃はラン氏の後宮船に収容されております。
ヤン妃はご無事でございますが、警護が厚く、救出は困難を極めます」
ゼフォンは無言で茶碗を置いた。
(ラン氏め……カナリアをさらって、何をするつもりだ)
「ユン・フェイリンの追跡を続けよ。下がれ」
「御意」
そう言って、密偵は消えた。
チャオ内侍へ探らせようと、ゼフォンは命じかけてすぐにやめた。
(動けば、ラン氏に悟られる。
……カナリアが危うくなる)
それから窓のそばへ寄り、流れる大河をしばらく見つめていた。
大河は悠々と流れ、船団の舳先《へさき》が水面を割るたびに白い飛沫が散った。春の陽光が川面にきらめいている。
(――あの年の巡幸でも、河はこうして光っていた。
カナリアを連れ帰った、あの日も……)
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大河を船団が進む中、ゼフォンは御座船《ござぶね》の御座所《ござしょ※》で茶を飲んでいた。 [※皇帝の居室]
チャオ内侍が「密偵がご報告申し上げたいと」と、声をひそめて伝えた。
ゼフォンが「通せ」と言うと、黒ずくめの男が音もなく入ってきて膝をついた。
「ユン・フェイリンとヤン妃の居場所を、確認いたしました。
ニンチュアン西の宿場町にございます。
本日、仕留めにかかりましたが――ラン氏の刺客集団に先を越され、ヤン妃を奪われました」
ゼフォンの表情が険しくなった瞬間、密偵はさらに頭を深く下げて続けた。
「私どもの失態でございます。
どうか罰をお与えください」
ゼフォンは息をついて、「報告を続けよ」と言った。
「……追跡した者からの報告では、ヤン妃はラン氏の後宮船に収容されております。
ヤン妃はご無事でございますが、警護が厚く、救出は困難を極めます」
ゼフォンは無言で茶碗を置いた。
(ラン氏め……カナリアをさらって、何をするつもりだ)
「ユン・フェイリンの追跡を続けよ。下がれ」
「御意」
そう言って、密偵は消えた。
チャオ内侍へ探らせようと、ゼフォンは命じかけてすぐにやめた。
(動けば、ラン氏に悟られる。
……カナリアが危うくなる)
それから窓のそばへ寄り、流れる大河をしばらく見つめていた。
大河は悠々と流れ、船団の舳先《へさき》が水面を割るたびに白い飛沫が散った。春の陽光が川面にきらめいている。
(――あの年の巡幸でも、河はこうして光っていた。
カナリアを連れ帰った、あの日も……)