小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―

第86話 檻の中のさえずり

第86話 檻の中のさえずり(1/6)




 大河には、濃い霧が立ちこめていた。

 濃霧で停船中の御座船《ござぶね》では、外の回廊で弓兵《きゅうへい》たちが警戒を続けている。

 沈んだ太陽の名残が、霧を橙色に染めている。帆先も、対岸の風景も、霧の奥にぼやけていた。

 その幻想的な光景を、御座所《ござしょ》の寝所の細く開けた窓から、シャオレイは椅子に座って見つめていた。

 ふいに、シャオレイの額の小鳥が、金の光を放った。
「何……!?」
 シャオレイは思わず額を押さえる。だが、手の隙間からなおも光は漏れた。慌てて窓を閉め、床にしゃがみこんでやり過ごす。

 しばらくして、光はようやく消えた。

(誰かに見られてたら、おしまいだわ……!
私を破滅させるつもり……?)
 シャオレイはよろよろと椅子に座り直し、息を整えた。

 窓の外から、小さく水音が届いていた。
 それ以外に、鳥の声も風の声も――何ひとつしなかった。

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