小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第87話 後悔の渦(2/5)
◆
フェイリンは、御座船《ござぶね》へ侵入したあと、裏通路を進んでいた。通行する使用人たちを、息を殺してやりすごし、上層階へ向かう。
フェイリンが通気口から天井裏へ入ると――どこからともなく、歌声がかすかに彼の耳へ届いた。
それは、シャオレイの歌声だった。
(歌っているということは、無事か……)
フェイリンは安堵しかけたが、歌詞を聴いているうちに、眉を寄せた。
(――皇帝をたたえる歌?
こんなものを何のために……?
誰のために……?)
ところどころかすれるシャオレイの歌声が、フェイリンに嫌な予感を抱かせる。
フェイリンは息をつき、歌声を頼りに、梁の上を慎重に這った。
やがて、フェイリンは歌声の真上にたどりついた。天井板の隙間に短刀の刃を刺し込み、隙間を広げる。
そこから部屋を覗き込んだ瞬間――フェイリンの目に飛び込んできたのは、帳《とばり》の下りた寝台だった。
その中から、わずかに震えるシャオレイの歌声が漏れていた。
フェイリンにはそれだけで、シャオレイがどんな状況に追い込まれているかが伝わった。
フェイリンに、激しい後悔が襲った。
(港なんかで待たずに、直接侵入していれば―――。
馬鹿だ俺は。
ダン・ゼフォンがそういう男だったのを、忘れていた。
命がかかっているのだから、シャオレイが拒めるはずがない……!)
伽はゼフォンが無理強いしたのではなく、シャオレイの策だった。
だが、ゼフォンなら無理強いすると、フェイリンが信じられる根拠があった。
シャオレイは、ゼフォンの手で冷宮に堕とされ、瀕死にされていたのだ。フェイリンが助けなかったら、シャオレイはあのまま命を落としていた。
フェイリンは奥歯を噛みしめたまま、刀を抜いた。
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フェイリンは、御座船《ござぶね》へ侵入したあと、裏通路を進んでいた。通行する使用人たちを、息を殺してやりすごし、上層階へ向かう。
フェイリンが通気口から天井裏へ入ると――どこからともなく、歌声がかすかに彼の耳へ届いた。
それは、シャオレイの歌声だった。
(歌っているということは、無事か……)
フェイリンは安堵しかけたが、歌詞を聴いているうちに、眉を寄せた。
(――皇帝をたたえる歌?
こんなものを何のために……?
誰のために……?)
ところどころかすれるシャオレイの歌声が、フェイリンに嫌な予感を抱かせる。
フェイリンは息をつき、歌声を頼りに、梁の上を慎重に這った。
やがて、フェイリンは歌声の真上にたどりついた。天井板の隙間に短刀の刃を刺し込み、隙間を広げる。
そこから部屋を覗き込んだ瞬間――フェイリンの目に飛び込んできたのは、帳《とばり》の下りた寝台だった。
その中から、わずかに震えるシャオレイの歌声が漏れていた。
フェイリンにはそれだけで、シャオレイがどんな状況に追い込まれているかが伝わった。
フェイリンに、激しい後悔が襲った。
(港なんかで待たずに、直接侵入していれば―――。
馬鹿だ俺は。
ダン・ゼフォンがそういう男だったのを、忘れていた。
命がかかっているのだから、シャオレイが拒めるはずがない……!)
伽はゼフォンが無理強いしたのではなく、シャオレイの策だった。
だが、ゼフォンなら無理強いすると、フェイリンが信じられる根拠があった。
シャオレイは、ゼフォンの手で冷宮に堕とされ、瀕死にされていたのだ。フェイリンが助けなかったら、シャオレイはあのまま命を落としていた。
フェイリンは奥歯を噛みしめたまま、刀を抜いた。