小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第87話 後悔の渦(3/5)
◆
突然、御座室《ござしつ》内の寝所で大きな物音がした。
シャオレイとゼフォンは、驚いて帳《とばり》の中から出てきた。
その瞬間、シャオレイの全身の血が凍りついた。
そこにいたのは――フェイリンだった。
天井板を蹴り落としたフェイリンは、音もなく床に降り立ち、ずぶ濡れのまま立っていた。あらわになったフェイリンの白髪《はくはつ》は濡れて、頬に張り付いている。
シャオレイを射抜いているのは、痛ましいような、怒りに震えるようなフェイリンの瞳だった。
シャオレイの頭の中は、真っ白になっていた。
ゼフォンの「なんだ貴様は……!」という声で我に返ったシャオレイは、すぐに乱れた衣《ころも》を隠した。
フェイリンは無言のまま、ゆっくりとシャオレイたちへ近づいてくる。
ゼフォンが声をあげようとした瞬間、フェイリンの刀がゼフォンの喉元を捉えた。
薄い帳《とばり》越しに、異変に気づいた侍衛たちが集まり始めていた。
フェイリンは声を潜めて、シャオレイに言う。
「俺について来い」
シャオレイは中衣《ちゅうい》姿のまま、床に落ちた衣《ころも》を震える手でつかみ、抱きかかえた。何かを言わなければいけないのに、言葉が出てこなかった。
シャオレイは、泣くことすらできなかった。
フェイリンは、シャオレイの姿を兵たちに晒したくはなかった。だが、緊迫した状況がそれを許さない。
フェイリンは刀をゼフォンの喉に据えたまま、ゆっくりと前進する。
「どけ」
フェイリンのひとことに、侍衛たちがたじろぎ、道を開ける。
皇帝が人質にされている状況では、誰も手出しができなかった。
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突然、御座室《ござしつ》内の寝所で大きな物音がした。
シャオレイとゼフォンは、驚いて帳《とばり》の中から出てきた。
その瞬間、シャオレイの全身の血が凍りついた。
そこにいたのは――フェイリンだった。
天井板を蹴り落としたフェイリンは、音もなく床に降り立ち、ずぶ濡れのまま立っていた。あらわになったフェイリンの白髪《はくはつ》は濡れて、頬に張り付いている。
シャオレイを射抜いているのは、痛ましいような、怒りに震えるようなフェイリンの瞳だった。
シャオレイの頭の中は、真っ白になっていた。
ゼフォンの「なんだ貴様は……!」という声で我に返ったシャオレイは、すぐに乱れた衣《ころも》を隠した。
フェイリンは無言のまま、ゆっくりとシャオレイたちへ近づいてくる。
ゼフォンが声をあげようとした瞬間、フェイリンの刀がゼフォンの喉元を捉えた。
薄い帳《とばり》越しに、異変に気づいた侍衛たちが集まり始めていた。
フェイリンは声を潜めて、シャオレイに言う。
「俺について来い」
シャオレイは中衣《ちゅうい》姿のまま、床に落ちた衣《ころも》を震える手でつかみ、抱きかかえた。何かを言わなければいけないのに、言葉が出てこなかった。
シャオレイは、泣くことすらできなかった。
フェイリンは、シャオレイの姿を兵たちに晒したくはなかった。だが、緊迫した状況がそれを許さない。
フェイリンは刀をゼフォンの喉に据えたまま、ゆっくりと前進する。
「どけ」
フェイリンのひとことに、侍衛たちがたじろぎ、道を開ける。
皇帝が人質にされている状況では、誰も手出しができなかった。