小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第87話 後悔の渦(5/5)
◆
メイレンから知らせを受けた第7皇子が、震える声で言った。
「父上が、崩御……?
――私が、即位……?」
それは、メイレンのついた嘘だった。だが、偽の遺勅《いちょく》を見た皇子は、まったく疑わなかった。
メイレンはそっと膝をつき、椅子に座っている皇子の手を握る。
「そなたを守るためなら、私はどんなことでもする。
だから、そなたも覚悟を決めるのだ」
メイレンは立ち上がり、ぐっと手を引いて皇子を立たせる。
皇子が震える唇で「精いっぱい務めます……」と言った瞬間――メイレンはその言葉に応えるように、皇子を抱きしめた。皇子の細い体を、壊れ物を扱うように、そっと腕に包んでいる。
不意に、皇子の細い肩に、メイレンの額がかすかに触れた。
「……少しだけ、こうさせてくれ」
メイレンの声は、ほとんど吐息のようだった。
皇子は目を見開いた。こんなことは初めてだったからだ。
(母上が、私に身を預けている……)
じわりと、皇子の胸が熱くなった。
やがて、メイレンは顔を上げる。
さっきまでの一瞬の弱さが、幻だったかのように、意志のこもった瞳で皇子を見つめた。
「さあ――支度をしよう」
皇子は力強く、うなずいた。
その様子に、メイレンはほくそ笑んでいた。
(やはり男には、ああいう仕草がよく効く。なんと御しやすく、愛らしい皇子よ)
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メイレンから知らせを受けた第7皇子が、震える声で言った。
「父上が、崩御……?
――私が、即位……?」
それは、メイレンのついた嘘だった。だが、偽の遺勅《いちょく》を見た皇子は、まったく疑わなかった。
メイレンはそっと膝をつき、椅子に座っている皇子の手を握る。
「そなたを守るためなら、私はどんなことでもする。
だから、そなたも覚悟を決めるのだ」
メイレンは立ち上がり、ぐっと手を引いて皇子を立たせる。
皇子が震える唇で「精いっぱい務めます……」と言った瞬間――メイレンはその言葉に応えるように、皇子を抱きしめた。皇子の細い体を、壊れ物を扱うように、そっと腕に包んでいる。
不意に、皇子の細い肩に、メイレンの額がかすかに触れた。
「……少しだけ、こうさせてくれ」
メイレンの声は、ほとんど吐息のようだった。
皇子は目を見開いた。こんなことは初めてだったからだ。
(母上が、私に身を預けている……)
じわりと、皇子の胸が熱くなった。
やがて、メイレンは顔を上げる。
さっきまでの一瞬の弱さが、幻だったかのように、意志のこもった瞳で皇子を見つめた。
「さあ――支度をしよう」
皇子は力強く、うなずいた。
その様子に、メイレンはほくそ笑んでいた。
(やはり男には、ああいう仕草がよく効く。なんと御しやすく、愛らしい皇子よ)