小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第88話 フェイリンの策(2/4)
◆
フェイリンは、閉めた扉を自らの背で押さえながら、ゼフォンを後ろ手に縛り上げた。
「何を――」
ゼフォンの抗議を遮るように、フェイリンはおごそかに口を開いた。
「陛下の命をお守りするためには、外部には“人質”と見せかける必要があります。
ご不快かと存じますが、どうかご容赦を……」
「“守る”だと?……ざれ言を。
貴様も予の首を狙っているだろう――ユン・フェイリン」
ゼフォンは、冷たい視線をフェイリンに送った。
フェイリンは内心あざ笑っていた。
(ようやく、俺の正体をつかんだのか)
そのとき、はだけた衣のままのシャオレイが、部屋にあった俵を扉の前に押し運んできた。外の兵に侵入されないためだ。
それに気づいたフェイリンが、シャオレイに言った。
「そなたは衣を着ろ」
シャオレイはうなずいて、奥の棚の向こうで着替え始めた。
俵をさらに数個、フェイリンは扉の前に置いた。それから、ゼフォンにひざまずいた。
「陛下にはご不快な思いをさせました。
ですが、皇后――いえ、ラン家の腹の内を引き出すには、この策しかございませんでした」
慇懃無礼なフェイリンに、ゼフォンは鼻を鳴らした。
「予に無断で事を進めた罪は重いぞ。
――そもそも、貴様は部外者だ」
「仰せの通り、私は陛下の政《まつりごと》に関わる者ではございません。
ゆえに、私なりの方法で対処するしかございませんでした」
フェイリンは、冷静に続けた。
「――ティンピン北部の山に、シン統領の伏兵が来ていることを確認致しました。
おそらく、ここでの騒ぎもすぐに伝わることでしょう。
陛下救出のために、未明には到着するはずです」
眉を上げたゼフォンへ、フェイリンは続けて言った。
「ですが……ラン・リーハイの兵もティンピン郊外に潜んでおります」
「なぜ貴様がそれを知っている?
まさか……シン統領と手を組んだのか?」
「――シン統領は、陛下のご威光が無ければ、動くこともなかったでしょう」
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フェイリンは、閉めた扉を自らの背で押さえながら、ゼフォンを後ろ手に縛り上げた。
「何を――」
ゼフォンの抗議を遮るように、フェイリンはおごそかに口を開いた。
「陛下の命をお守りするためには、外部には“人質”と見せかける必要があります。
ご不快かと存じますが、どうかご容赦を……」
「“守る”だと?……ざれ言を。
貴様も予の首を狙っているだろう――ユン・フェイリン」
ゼフォンは、冷たい視線をフェイリンに送った。
フェイリンは内心あざ笑っていた。
(ようやく、俺の正体をつかんだのか)
そのとき、はだけた衣のままのシャオレイが、部屋にあった俵を扉の前に押し運んできた。外の兵に侵入されないためだ。
それに気づいたフェイリンが、シャオレイに言った。
「そなたは衣を着ろ」
シャオレイはうなずいて、奥の棚の向こうで着替え始めた。
俵をさらに数個、フェイリンは扉の前に置いた。それから、ゼフォンにひざまずいた。
「陛下にはご不快な思いをさせました。
ですが、皇后――いえ、ラン家の腹の内を引き出すには、この策しかございませんでした」
慇懃無礼なフェイリンに、ゼフォンは鼻を鳴らした。
「予に無断で事を進めた罪は重いぞ。
――そもそも、貴様は部外者だ」
「仰せの通り、私は陛下の政《まつりごと》に関わる者ではございません。
ゆえに、私なりの方法で対処するしかございませんでした」
フェイリンは、冷静に続けた。
「――ティンピン北部の山に、シン統領の伏兵が来ていることを確認致しました。
おそらく、ここでの騒ぎもすぐに伝わることでしょう。
陛下救出のために、未明には到着するはずです」
眉を上げたゼフォンへ、フェイリンは続けて言った。
「ですが……ラン・リーハイの兵もティンピン郊外に潜んでおります」
「なぜ貴様がそれを知っている?
まさか……シン統領と手を組んだのか?」
「――シン統領は、陛下のご威光が無ければ、動くこともなかったでしょう」