小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第89話 密室の三角関係
第89話 密室の三角関係(1/6)
立ち上がったフェイリンの腰に揺れる香り袋――それが、ゼフォンの目に映った。
そこにほどこされていた刺繍は、ゼフォンが焼き捨てたシャオレイの香り袋と同じだった。
ゼフォンの胸に、嫉妬が燃え上がる。
「ルリ姫は予の女だ。
それを忘れるな」
その言葉で、今まで抑えていたフェイリンの殺意が、膨れあがった。
(“ルリ”……。
またシャオレイに、くだらん名を付けているのか。――この男こそ、ケダモノじゃないのか……?)
“ケダモノ”
それは、かつてフェイリンが、医者から叱責されたときに呼ばれた。フェイリンは杖刑で受けた傷が裂けてもなお、昼夜問わずシャオレイを求め続けたのだ。
(だが俺は、女を力で押さえつけたりしない……)
フェイリンとゼフォンは、無言のままお互いに殺意をぶつけ合っていた。
だが、フェイリンが先に目をそらした。
(あんなケダモノに、関わっている暇など無い)
フェイリンは、すばやく棚の最上段に上がり、天井板を刀の柄で叩き割った。それから、力任せに天井板を剥がし、天井裏を覗く。視界の端に小さな影を認識した次の瞬間、飛刀《ひとう》を投げた。
小さなうめき声がして、影は動かなくなった。それは、左羽林軍の偵察兵だった。
立ち上がったフェイリンの腰に揺れる香り袋――それが、ゼフォンの目に映った。
そこにほどこされていた刺繍は、ゼフォンが焼き捨てたシャオレイの香り袋と同じだった。
ゼフォンの胸に、嫉妬が燃え上がる。
「ルリ姫は予の女だ。
それを忘れるな」
その言葉で、今まで抑えていたフェイリンの殺意が、膨れあがった。
(“ルリ”……。
またシャオレイに、くだらん名を付けているのか。――この男こそ、ケダモノじゃないのか……?)
“ケダモノ”
それは、かつてフェイリンが、医者から叱責されたときに呼ばれた。フェイリンは杖刑で受けた傷が裂けてもなお、昼夜問わずシャオレイを求め続けたのだ。
(だが俺は、女を力で押さえつけたりしない……)
フェイリンとゼフォンは、無言のままお互いに殺意をぶつけ合っていた。
だが、フェイリンが先に目をそらした。
(あんなケダモノに、関わっている暇など無い)
フェイリンは、すばやく棚の最上段に上がり、天井板を刀の柄で叩き割った。それから、力任せに天井板を剥がし、天井裏を覗く。視界の端に小さな影を認識した次の瞬間、飛刀《ひとう》を投げた。
小さなうめき声がして、影は動かなくなった。それは、左羽林軍の偵察兵だった。