小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第89話 密室の三角関係(2/6)


 フェイリンが天井裏の敵を片付け終えて、床へ下りると――シャオレイが、盆を持って奥からやって来た。

 そこには、水で戻した乾燥粥と干し肉、そして碗に入った水が並んでいる。

 フェイリンの目に、シャオレイのあでやかな姿が映る。

 なめらかな絹の衣、繊細な刺繍、肌に揺れる宝飾品――今のシャオレイは、後宮の女だった。だが、かつての朗らかな顔は、そこには無かった。まるで、泥沼のように、重く暗く沈んでいる。
 シャオレイには、ゼフォンへの愛はもう無い。だが、彼を軽んじることもできなかった。

 ゼフォンはこの国の礎《いしずえ※》であり、明君だった。 [※物事の基礎となる大切なもの]

 だからこそシャオレイは、臣民《しんみん※※》として敬意を尽くすつもりだった。 [※※君主国の民]
(何よりも今、陛下を怒らせるのは得策ではない。
でも、フェイリンにますます誤解されてしまう……。
あんな形で夫を裏切った私を、フェイリンがゆるしてくれるとは思えないわ……)
 シャオレイにとって、戦も謀反もどうでもよかった。
 夫・フェイリンとの愛――それだけが、シャオレイの気がかりだった。

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