小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第90話 再来する悲しみ(5/6)


 しばらくして、シャオレイが入り口近くにいるゼフォンをちらりと見る。

 ゼフォンは、うなだれているのか寝ているのか――ぴくりとも動かなかった。

 それから、シャオレイは決意した。
(フェイリンは、陛下とは違う……。
真相を話すべきだわ)
 シャオレイは、フェイリンの胸にもたれて声をひそめた。
「――私の夫は、あなただけよ」

「知ってる……」

「……私が拉致されたのは、皇后――ラン氏のしわざだったわ。
私を傾国にして、謀反の大義名分にしようとしたんだと思う。
ラン氏に会ったとき、すぐにピンと来たわ。
だから、その策に乗ってやろうと思ったの……」

 フェイリンは、黙ってうなずいている。

 シャオレイは「それに――」と言いよどんだ。
 無意識に、フェイリンの胸元をつかみ、シャオレイは続ける。
「陛下は、無理強いをしない。
でも、拒めば監視は強まるし……。
刺激しすぎると……あなたが殺されてしまうかもしれないから……」

 その瞬間、フェイリンの瞳が揺れた。
 シャオレイは震える声を整えるように、息をついて言った。
「――だから、私からしたの。
それだけのことよ。
何も……他意なんてない」


 そっと、フェイリンはシャオレイの肩を包み込んだ。それから、口を開く。
「……そうだったのか」
 その声は、驚きでも怒りでもなく――静かな理解だった。しかし、フェイリンの胸の中では、いくつもの感情が波を立てている。
 少しの沈黙の後、フェイリンは目を閉じ――またゆっくりと開いた。
「……また、守られたな……そなたに」

「守りたいの」

 フェイリンはそのいじらしさに何も言えず、ただシャオレイの髪を撫でていた。
(そうだ……シャオレイはそういう女だった……最初から。
自分が傷つくのをためらわない)

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