小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第90話 再来する悲しみ(6/6)
しばらくの沈黙のあと、シャオレイが小さな声で言った。
「ねえ、短刀を貸してくれない……?
あのかんざしを無くしてしまったから、不安なの」
「……無くした?」
フェイリンが尋ねると、シャオレイは気まずそうに「さらわれたときに……」と目を伏せた。
「そうか」
そう言って、フェイリンはシャオレイへ短刀を渡した。
受け取った短刀を、シャオレイは帯紐へ差し込んだ。
それから、シャオレイは胸元から手巾を取り出し、それをフェイリンに差し出した。
「ごめんなさい……割ってしまったの……」
その声は消え入りそうだった。
フェイリンが手巾を開くと、中から佩玉のかけらが出てきた。
その瞬間、フェイリンの胸が締めつけられた。
佩玉は、祖父の形見だった。
(落としただけなら、こんなふうに割れない……)
かけらに残った、フェイリンへの明確な敵意。――フェイリンはそれを感じとっていた。
(かんざしも、香り袋も――シャオレイの声も。ダン・ゼフォンは、シャオレイからすべて剥ぎ取る……)
シャオレイの香り袋が失われていたことにも、フェイリンは気づいていた。
だがシャオレイは、ゼフォンの名も恨み言も口にしなかった。
それをひとことでも口にされていたら、フェイリンはためらいなくゼフォンを殺していた。
だから、シャオレイは言わないのだ。
(……哀しいほどに、甘い)
だが、その“甘さ”を守るためなら、フェイリンはどんな鉄の掟だって破ってしまうだろう。
フェイリンは佩玉を包み直して、シャオレイに返した。
「持っていてくれ。
――俺はそなたがいれば、それでいい」
シャオレイは小さくうなずいた。
それから、フェイリンはシャオレイを抱き寄せ、そっと口づけをした。
しばらくの沈黙のあと、シャオレイが小さな声で言った。
「ねえ、短刀を貸してくれない……?
あのかんざしを無くしてしまったから、不安なの」
「……無くした?」
フェイリンが尋ねると、シャオレイは気まずそうに「さらわれたときに……」と目を伏せた。
「そうか」
そう言って、フェイリンはシャオレイへ短刀を渡した。
受け取った短刀を、シャオレイは帯紐へ差し込んだ。
それから、シャオレイは胸元から手巾を取り出し、それをフェイリンに差し出した。
「ごめんなさい……割ってしまったの……」
その声は消え入りそうだった。
フェイリンが手巾を開くと、中から佩玉のかけらが出てきた。
その瞬間、フェイリンの胸が締めつけられた。
佩玉は、祖父の形見だった。
(落としただけなら、こんなふうに割れない……)
かけらに残った、フェイリンへの明確な敵意。――フェイリンはそれを感じとっていた。
(かんざしも、香り袋も――シャオレイの声も。ダン・ゼフォンは、シャオレイからすべて剥ぎ取る……)
シャオレイの香り袋が失われていたことにも、フェイリンは気づいていた。
だがシャオレイは、ゼフォンの名も恨み言も口にしなかった。
それをひとことでも口にされていたら、フェイリンはためらいなくゼフォンを殺していた。
だから、シャオレイは言わないのだ。
(……哀しいほどに、甘い)
だが、その“甘さ”を守るためなら、フェイリンはどんな鉄の掟だって破ってしまうだろう。
フェイリンは佩玉を包み直して、シャオレイに返した。
「持っていてくれ。
――俺はそなたがいれば、それでいい」
シャオレイは小さくうなずいた。
それから、フェイリンはシャオレイを抱き寄せ、そっと口づけをした。