小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第91話 偽りの即位
第91話 偽りの即位(1/9)
◆
御座船《ござぶね》の混乱は、後宮船《こうきゅうせん》にも及んでいた。
そこは禁軍ではなく、ラン家の私兵によって占拠されていた。表向きは護衛という名目だが、実際は実効支配だった。
メイレンは大広間に妃たちを集め、内侍や女官長も控えさせた。
あどけなさを残した顔の第7皇子が、高座の椅子に腰かけている。
場に緊張が張りつめている。
それを、メイレンの声が引き裂いた。
「禁軍が謀反を起こし、陛下が崩御なさった」
大広間に、どよめきが走る。
メイレンは、「陛下は、賊の手により――…」と、言葉を詰まらせた。
今までのメイレンの説明は、すべて嘘だった。だが、メイレンは真実であるかのように振る舞った。
しばしの沈黙のあと、メイレンは一枚の絹製の書状を掲げた。
「――これは先帝の遺勅《いちょく※》である。
先帝付きの、ムー内侍から託された」[※皇帝の遺言]
だがそれは、偽造だった。ゼフォンそっくりの筆跡に、玉璽《ぎょくじ※》まで押してある。[※皇帝専用の印章]
それを見た女官長の顔が、わずかに曇った。有事の際にしては整いすぎている筆跡に、不自然さを感じたのだ。
だが、私兵のひとりに鋭くにらまれ、女官長はすぐに目を伏せた。
◆
御座船《ござぶね》の混乱は、後宮船《こうきゅうせん》にも及んでいた。
そこは禁軍ではなく、ラン家の私兵によって占拠されていた。表向きは護衛という名目だが、実際は実効支配だった。
メイレンは大広間に妃たちを集め、内侍や女官長も控えさせた。
あどけなさを残した顔の第7皇子が、高座の椅子に腰かけている。
場に緊張が張りつめている。
それを、メイレンの声が引き裂いた。
「禁軍が謀反を起こし、陛下が崩御なさった」
大広間に、どよめきが走る。
メイレンは、「陛下は、賊の手により――…」と、言葉を詰まらせた。
今までのメイレンの説明は、すべて嘘だった。だが、メイレンは真実であるかのように振る舞った。
しばしの沈黙のあと、メイレンは一枚の絹製の書状を掲げた。
「――これは先帝の遺勅《いちょく※》である。
先帝付きの、ムー内侍から託された」[※皇帝の遺言]
だがそれは、偽造だった。ゼフォンそっくりの筆跡に、玉璽《ぎょくじ※》まで押してある。[※皇帝専用の印章]
それを見た女官長の顔が、わずかに曇った。有事の際にしては整いすぎている筆跡に、不自然さを感じたのだ。
だが、私兵のひとりに鋭くにらまれ、女官長はすぐに目を伏せた。