小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第91話 偽りの即位(7/9)
◆
後宮船は、いつまで経っても沈黙を続けていた。
漕ぎ手のいる場所は、すでに藩鎮《はんちん》の機動兵によって、制圧されていた。機動兵は、小舟で密かに乗船していたのだ。
メイレンはその状況を知り、新皇帝を脱出させる算段を立てていた。そこへ、彼女の弟たちが慌てて駆け込んできた。
「父上が戦死された!」
そのひとことに、メイレンは「何!?」と、目を大きく見開いた。
リーハイは、シン統領に討たれた。――12月に起きた、謀反の口封じのために。
寄せ集めのリーハイの兵たちは、藩鎮にあっという間に制圧されつつあった。戦い続けている者は、もはやわずかだった。すでに逃げ出した兵も多い。
「ダン・ゼフォンは、貯蔵庫に立てこもっていると言ったな」
メイレンが険しい表情で問うと、上の弟はうなずいた。
「そこへ火矢を放ったが、奴を殺せたかどうかまでは……」
下の弟も声を潜める。
「確認しに行こうにも、禁軍の守りが固すぎるのだ。
姉上……どうする?」
メイレンは、頼りないふたりの弟に、ため息をついた。だが、すぐに小さく首を振る。
(いや……こやつらが行ったところで、禁軍に囲まれて瞬殺だ)
メイレンの頭に、ジュンの姿が浮かんだ。
(――せめて、あの狂犬がおれば……。
手放すのではなかったな……惜しいことをした)
メイレンは息をつき、天を仰いだ。
それから、絞り出すように言った。
「致し方ない……」
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後宮船は、いつまで経っても沈黙を続けていた。
漕ぎ手のいる場所は、すでに藩鎮《はんちん》の機動兵によって、制圧されていた。機動兵は、小舟で密かに乗船していたのだ。
メイレンはその状況を知り、新皇帝を脱出させる算段を立てていた。そこへ、彼女の弟たちが慌てて駆け込んできた。
「父上が戦死された!」
そのひとことに、メイレンは「何!?」と、目を大きく見開いた。
リーハイは、シン統領に討たれた。――12月に起きた、謀反の口封じのために。
寄せ集めのリーハイの兵たちは、藩鎮にあっという間に制圧されつつあった。戦い続けている者は、もはやわずかだった。すでに逃げ出した兵も多い。
「ダン・ゼフォンは、貯蔵庫に立てこもっていると言ったな」
メイレンが険しい表情で問うと、上の弟はうなずいた。
「そこへ火矢を放ったが、奴を殺せたかどうかまでは……」
下の弟も声を潜める。
「確認しに行こうにも、禁軍の守りが固すぎるのだ。
姉上……どうする?」
メイレンは、頼りないふたりの弟に、ため息をついた。だが、すぐに小さく首を振る。
(いや……こやつらが行ったところで、禁軍に囲まれて瞬殺だ)
メイレンの頭に、ジュンの姿が浮かんだ。
(――せめて、あの狂犬がおれば……。
手放すのではなかったな……惜しいことをした)
メイレンは息をつき、天を仰いだ。
それから、絞り出すように言った。
「致し方ない……」