小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第91話 偽りの即位(8/9)
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後宮船の上層階の部屋で、新皇帝が不安げに外の様子に耳を澄ませていた。
そこへ、メイレンが弟たちを引き連れて入ってくる。
メイレンは我が子――新皇帝にひざまずき、頭を下げた。
「陛下、ここでお別れでございます。
叔父上たちの助言によく耳を傾け、他の者に決して心を許してはなりませぬ。
――どうぞ、お忘れなきよう」
それは、“母”としてではなく、“臣下”としての別れだった。
目の前にいるのは、“我が子”ではなく、“皇帝”なのだ。何よりも大事なのは、ラン家の血を引く新皇帝を生かすことだった。
――メイレンもまた、ラン家の駒だったのだ。
新皇帝は戸惑いながらも、小さくうなずいた。
メイレンは立ち上がると、弟たちに視線を向ける。そして、それぞれを力強く指差した。
「死んでも陛下を守るのだ。……良いな?」
「皇太后殿下の命《めい》に従います!」
メイレンの弟たちは、拝命した。
メイレンは、新皇帝に深く頭を下げた。そして、彼女はミンシーとムー内侍を引き連れて、静かに部屋を出て行った。
残された新皇帝は、扉の向こうをいつまでも見つめていた。
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後宮船の上層階の部屋で、新皇帝が不安げに外の様子に耳を澄ませていた。
そこへ、メイレンが弟たちを引き連れて入ってくる。
メイレンは我が子――新皇帝にひざまずき、頭を下げた。
「陛下、ここでお別れでございます。
叔父上たちの助言によく耳を傾け、他の者に決して心を許してはなりませぬ。
――どうぞ、お忘れなきよう」
それは、“母”としてではなく、“臣下”としての別れだった。
目の前にいるのは、“我が子”ではなく、“皇帝”なのだ。何よりも大事なのは、ラン家の血を引く新皇帝を生かすことだった。
――メイレンもまた、ラン家の駒だったのだ。
新皇帝は戸惑いながらも、小さくうなずいた。
メイレンは立ち上がると、弟たちに視線を向ける。そして、それぞれを力強く指差した。
「死んでも陛下を守るのだ。……良いな?」
「皇太后殿下の命《めい》に従います!」
メイレンの弟たちは、拝命した。
メイレンは、新皇帝に深く頭を下げた。そして、彼女はミンシーとムー内侍を引き連れて、静かに部屋を出て行った。
残された新皇帝は、扉の向こうをいつまでも見つめていた。