小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第92話 仇討ちの結末(4/7)


 “皇帝の女を奪おうとした男”が追い詰められていくさま――それは、ゼフォンの口の端を吊り上げさせた。
 ゼフォンの顔に浮かんだのは、愉悦の色だった。まるで、罠にかかってもがく獲物を見る狩人のようだ。

 その残酷な笑みに、シャオレイはぞっとした。
(これが……かつて私が愛して、すべてを捧げたひとなの……?)
 シャオレイに、ゼフォンへの未練はない。だが、シャオレイの胸の奥は傷ついていた。
(……私の見る目が無かったの?
でも、愛したことまで間違いだったなんて、思いたくない)
 シャオレイに後悔が押し寄せた。
(貯蔵庫で陛下を助けなければ、こんなことにはならなかった。
でも、見殺しにできなかった。
だって、殺したいほど憎んでないもの。
だけど――……)
 シャオレイの選ばなかった刃が、今――彼女の愛するフェイリンを貫こうとしている。

 思わず、シャオレイはゼフォンへひざまずいていた。――かつて、ジュンの命乞いをしたミアルと同じように。
「陛下、ユン・フェイリンをお許しください。
どうか――どうか……!」
 甲板に額をこすりつけながら、シャオレイは必死に叫んだ。
 “皇帝の敵”の命乞いをしたら、シャオレイ自身の命も危ない。だが、シャオレイはそうせずにはいられなかった。
 それからシャオレイは、顔を上げて瞳でゼフォンへ訴えた。

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