小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第93話 前世の涙(2/8)
自分の本心が分からないまま、シャオレイはゼフォンへひざまずいた。それから、涙で震える声で言った。
「……陛下がご無事で……何よりでございます……」
そのとき、シャオレイは気づいた。
自分の胸に、ある感情が満ちていることに。
それは――達成感。
(ああ、やっと分かった。
これは――“前世の私”の涙だわ……。
愛する夫を失い、ひとりぼっちでさえずっていた、悲しい私の……。
陛下を救いたかったのは、過去の私……今の私じゃないわ。
今の私は……フェイリンを救いたかった。
――長い苦しみから。
私は、“ふたりの私”として、あの刃を振るったの)
やがて、ゼフォンはシャオレイの手を取って、ゆっくりと立たせた。
ゼフォンの顔には穏やかなほほ笑みが浮かび、胸に静かな安堵が満ちていた。
(混乱は鎮まり、裏切り者は討たれ、国家の秩序は守られた。
そして、逃げ出した“小鳥”が、自ら鳥籠へ戻ってきた。
――これでよい。
すべてが、あるべきところに還ったのだ)
「ルリ姫を護送せよ」
ゼフォンの命《めい》に、ウェン将軍が一礼し、女官たちへ「ルリ姫様を、後方の副統領船へ」と指示した。
「姫様、参りましょう」
女官がシャオレイの腕を取り、歩かせようとする。
シャオレイはその手を振り払うことなく、ただ、静かにフェイリンの方を振り返った。
フェイリンは、まっすぐにシャオレイを見ていた。その瞳には、ほのかな不安がにじんでいる。
シャオレイはフェイリンを見つめながら、心の中で呼びかけた。
(待ってて。
私は必ず、あなたのもとへ戻る。
だから――陛下と“決着”をつけてくるわ)
シャオレイは、フェイリンを安心させるように、小さく――だが力強くうなずいた。
自分の本心が分からないまま、シャオレイはゼフォンへひざまずいた。それから、涙で震える声で言った。
「……陛下がご無事で……何よりでございます……」
そのとき、シャオレイは気づいた。
自分の胸に、ある感情が満ちていることに。
それは――達成感。
(ああ、やっと分かった。
これは――“前世の私”の涙だわ……。
愛する夫を失い、ひとりぼっちでさえずっていた、悲しい私の……。
陛下を救いたかったのは、過去の私……今の私じゃないわ。
今の私は……フェイリンを救いたかった。
――長い苦しみから。
私は、“ふたりの私”として、あの刃を振るったの)
やがて、ゼフォンはシャオレイの手を取って、ゆっくりと立たせた。
ゼフォンの顔には穏やかなほほ笑みが浮かび、胸に静かな安堵が満ちていた。
(混乱は鎮まり、裏切り者は討たれ、国家の秩序は守られた。
そして、逃げ出した“小鳥”が、自ら鳥籠へ戻ってきた。
――これでよい。
すべてが、あるべきところに還ったのだ)
「ルリ姫を護送せよ」
ゼフォンの命《めい》に、ウェン将軍が一礼し、女官たちへ「ルリ姫様を、後方の副統領船へ」と指示した。
「姫様、参りましょう」
女官がシャオレイの腕を取り、歩かせようとする。
シャオレイはその手を振り払うことなく、ただ、静かにフェイリンの方を振り返った。
フェイリンは、まっすぐにシャオレイを見ていた。その瞳には、ほのかな不安がにじんでいる。
シャオレイはフェイリンを見つめながら、心の中で呼びかけた。
(待ってて。
私は必ず、あなたのもとへ戻る。
だから――陛下と“決着”をつけてくるわ)
シャオレイは、フェイリンを安心させるように、小さく――だが力強くうなずいた。