小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第93話 前世の涙(3/8)




 フェイリンは、甲板にひとり取り残されていた。
(シャオレイがダン・ゼフォンの手を握り、涙していた――)
 それだけで、胸の奥がざらついた。
 だが、すぐに思い出した。シャオレイのあの瞳を。
(必ず戻ると……俺に言っていた。
――それに、シャオレイの夫は、俺だけだと)
 心に一瞬浮かんだ疑念も、嫉妬も、ただの雑音だった。
(シャオレイは、あの男の命を救うために動いていた。
初めて会ったときから、ずっと。
俺の仇討ちと同じだ。
簡単に忘れられたり、割り切れるものじゃない)
 フェイリンは静かに、欄干から大河の小舟へと飛び降りた。

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