小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第93話 前世の涙(4/8)
◆
敵兵の死体は、次々と船縁《ふなべり》から大河へ投げ落とされていた。
紅い色が、水面に薄く広がっていく。
一方で、禁軍の兵たちの亡骸は布で包まれ、丁重に運び出されていった。
御座船《ござぶね》に残って指揮をするゼフォンの元へ、禁軍のシン統領がやって来た。シン統領はひざまずき、深々と礼をした。
ゼフォンが「なぜ予に知らせなかった?」と言うと、シン統領は答えた。
「12月の乱の再発を恐れ、警備を厳《げん》にいたしました。
これだけの兵を表立って増やせば、民に不安を与えます。
それを恐れ、陛下にご報告申し上げず、伏せたのみにございます」
「ユン・フェイリンが接触したと聞いたが」
「情報に基づき、独自に再調査いたしましたところ、謀反の確証は得られず……。
万一、誤報であれば、混乱を招くと判断いたしました」
ゼフォンはしばらく沈黙した。
「――結果が出ていなければ、貴様の首は飛んでいたぞ」
「承知の上でございました」
ゼフォンは息をつき、シン統領へ下がるように手で合図した。
シン統領が独断で藩鎮《はんちん》を動かした件は、こうして不問とされた。
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敵兵の死体は、次々と船縁《ふなべり》から大河へ投げ落とされていた。
紅い色が、水面に薄く広がっていく。
一方で、禁軍の兵たちの亡骸は布で包まれ、丁重に運び出されていった。
御座船《ござぶね》に残って指揮をするゼフォンの元へ、禁軍のシン統領がやって来た。シン統領はひざまずき、深々と礼をした。
ゼフォンが「なぜ予に知らせなかった?」と言うと、シン統領は答えた。
「12月の乱の再発を恐れ、警備を厳《げん》にいたしました。
これだけの兵を表立って増やせば、民に不安を与えます。
それを恐れ、陛下にご報告申し上げず、伏せたのみにございます」
「ユン・フェイリンが接触したと聞いたが」
「情報に基づき、独自に再調査いたしましたところ、謀反の確証は得られず……。
万一、誤報であれば、混乱を招くと判断いたしました」
ゼフォンはしばらく沈黙した。
「――結果が出ていなければ、貴様の首は飛んでいたぞ」
「承知の上でございました」
ゼフォンは息をつき、シン統領へ下がるように手で合図した。
シン統領が独断で藩鎮《はんちん》を動かした件は、こうして不問とされた。