小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第93話 前世の涙(6/8)
◆
翌朝、謀反の影響で巡幸は中止になり、船は都へ戻っていた。
臨時の御座船《ござぶね》となった、副統領船《ふくとうりょくせん》の執務室に、ゼフォンはいた。詔《みことのり》や記録文書の、確認と決裁に朝から追われていた。
そこへ女官が現れ、うやうやしく文《ふみ》を差し出した。
ゼフォンが開けると、なめらかな筆跡が目に入った。
『昨日の不敬、深くお詫び申し上げます。
ひとこと、お伝えしたきことがございます。
陛下におかれましてはご多忙のことと存じておりますゆえ、ほんのひとときでも構いませぬ。
よろしければ、御座船の甲板にてお待ちしております。
無礼を重々承知のうえ――
妾《わらわ》、シャオレイ、伏してお願い申し上げます』
ゼフォンの胸の奥で、なにか嫌な予感がした。
(“お伝えしたきこと”……?)
ゼフォンは静かに筆を置き、チャオ内侍を従えて執務室を後にした。
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翌朝、謀反の影響で巡幸は中止になり、船は都へ戻っていた。
臨時の御座船《ござぶね》となった、副統領船《ふくとうりょくせん》の執務室に、ゼフォンはいた。詔《みことのり》や記録文書の、確認と決裁に朝から追われていた。
そこへ女官が現れ、うやうやしく文《ふみ》を差し出した。
ゼフォンが開けると、なめらかな筆跡が目に入った。
『昨日の不敬、深くお詫び申し上げます。
ひとこと、お伝えしたきことがございます。
陛下におかれましてはご多忙のことと存じておりますゆえ、ほんのひとときでも構いませぬ。
よろしければ、御座船の甲板にてお待ちしております。
無礼を重々承知のうえ――
妾《わらわ》、シャオレイ、伏してお願い申し上げます』
ゼフォンの胸の奥で、なにか嫌な予感がした。
(“お伝えしたきこと”……?)
ゼフォンは静かに筆を置き、チャオ内侍を従えて執務室を後にした。