小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第93話 前世の涙(7/8)
◆
大河は、昨日の騒ぎなどまるでなかったように、きらめいている。
それをシャオレイは、船尾の甲板で欄干にもたれて見つめていた。陽の光を浴びて、シャオレイの衣《ころも》や宝飾品も輝いている。
シャオレイは決意していた。
(あのあとフェイリンには会えなかったけど、どこかで私を見守ってくれてるはず。
私はフェイリンの命を守りたい。
それなら、陛下に私を追わせちゃいけない。
――追わせてしまったら、フェイリンは殺されてしまう……)
「ルリ」
ゼフォンの声に、シャオレイは振り返った。ゼフォンの姿を認めると、すぐにひざまずく。
「陛下、昨日の不敬を深くお詫び申し上げます。
陛下のご決断を遮って、あの男の命を懇願するなど――ゆるされぬ行ないでございました」
「予の女であるそなたが、他の男の命乞いをするとは、愚かだ。
――だが、そなたには予を救った功績がある。
望むものを、申せ」
「……ひとつ、願いがございます。
かつて瑶吟宮《ようぎんきゅう》に仕えていた使用人たちへ、恩赦を賜りたく存じます。
私めのあやまちで彼らは罰を受け、苦役についております。
……それを、どうか――」
シャオレイが、深く頭を下げた。
ゼフォンは、小さくうなずいて言った。
「……分かった。
恩赦を与えよう」
シャオレイは、さらに、深々と頭を下げた。
「このたびのご慈悲――心より感謝申し上げます」
「伝えたきこととは、それだけか?」
シャオレイは頭を上げてから、ゆっくり首を振って言った。
「陛下に、お別れを申し上げに参りました」
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大河は、昨日の騒ぎなどまるでなかったように、きらめいている。
それをシャオレイは、船尾の甲板で欄干にもたれて見つめていた。陽の光を浴びて、シャオレイの衣《ころも》や宝飾品も輝いている。
シャオレイは決意していた。
(あのあとフェイリンには会えなかったけど、どこかで私を見守ってくれてるはず。
私はフェイリンの命を守りたい。
それなら、陛下に私を追わせちゃいけない。
――追わせてしまったら、フェイリンは殺されてしまう……)
「ルリ」
ゼフォンの声に、シャオレイは振り返った。ゼフォンの姿を認めると、すぐにひざまずく。
「陛下、昨日の不敬を深くお詫び申し上げます。
陛下のご決断を遮って、あの男の命を懇願するなど――ゆるされぬ行ないでございました」
「予の女であるそなたが、他の男の命乞いをするとは、愚かだ。
――だが、そなたには予を救った功績がある。
望むものを、申せ」
「……ひとつ、願いがございます。
かつて瑶吟宮《ようぎんきゅう》に仕えていた使用人たちへ、恩赦を賜りたく存じます。
私めのあやまちで彼らは罰を受け、苦役についております。
……それを、どうか――」
シャオレイが、深く頭を下げた。
ゼフォンは、小さくうなずいて言った。
「……分かった。
恩赦を与えよう」
シャオレイは、さらに、深々と頭を下げた。
「このたびのご慈悲――心より感謝申し上げます」
「伝えたきこととは、それだけか?」
シャオレイは頭を上げてから、ゆっくり首を振って言った。
「陛下に、お別れを申し上げに参りました」