小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第95話 歩み始める夫婦(2/7)
◆
フェイリンの母の故郷――ビーシェンの東の空には、月が浮かんでいた。
夕闇が、大通りから外れた小さな通りを包んでいた。
その一角に、小ぢんまりとした店付きの住まい――シャオレイとフェイリンの家があった。
扉には双喜紋《そうきもん※》が貼られ、紅い布帯《ぬのおび》と紅繍球《こうしゅうきゅう※※》で飾られていた。 [※喜を2つ並べた縁起のいい模様] [※※赤い絹布で作る花のような球]
今夜は、ふたりの婚礼だった。
2階の居間も、同じように飾られている。
香台《こうだい※》に敷かれた紅い布の上に、ユン家の位牌と香炉が乗せられている。そこから、細い煙がゆっくりと上がっていた。 [※香炉を乗せる高い台]
その前に並んだのは、新郎新婦――フェイリンとシャオレイ。
ふたりは、おそろいの刺繍が入った、紅い婚礼衣に身を包んでいた。
そして、お互いに通心錦《つうしんきん※》の端を持っていた。その中央には、紅繍球《こうしゅうきゅう》が飾られている。 [※新郎新婦が婚礼で使う紅い絹の帯]
シャオレイは、両手で持った絹のうちわ越しに、ユン家の位牌を見つめていた。
(紅繍球《こうしゅうきゅう》は、運命の人の証し。
たしかに、フェイリンとの出会いは運命だったわ……。
少しでもズレていたら、彼には会えなかった。
通心錦《つうしんきん》は、紅い帯で結ばれた証し。
一度は引き裂かれた私たちが、今またこうして結ばれた。
すでに結髪礼《けっぱつれい》を済ませているけれど、今日は改めて、天とフェイリンのご両親へ誓うの。
――私たちが一生添い遂げると……)
その想いを胸に、フェイリンに続いて、シャオレイもひざまずく。
ふたりで、天地の神に向かって頭を下げる。
次に、両親――ユン家の位牌に向かって、ふたりは頭を下げた。
それから向かい合い、頭を下げた。
うちわの陰でゆらゆらと揺れる、シャオレイの歩揺《ほよう》がフェイリンの目に映った。
シャオレイは、通心錦をフェイリンへ渡し、ひとり寝室へ向かった。
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フェイリンの母の故郷――ビーシェンの東の空には、月が浮かんでいた。
夕闇が、大通りから外れた小さな通りを包んでいた。
その一角に、小ぢんまりとした店付きの住まい――シャオレイとフェイリンの家があった。
扉には双喜紋《そうきもん※》が貼られ、紅い布帯《ぬのおび》と紅繍球《こうしゅうきゅう※※》で飾られていた。 [※喜を2つ並べた縁起のいい模様] [※※赤い絹布で作る花のような球]
今夜は、ふたりの婚礼だった。
2階の居間も、同じように飾られている。
香台《こうだい※》に敷かれた紅い布の上に、ユン家の位牌と香炉が乗せられている。そこから、細い煙がゆっくりと上がっていた。 [※香炉を乗せる高い台]
その前に並んだのは、新郎新婦――フェイリンとシャオレイ。
ふたりは、おそろいの刺繍が入った、紅い婚礼衣に身を包んでいた。
そして、お互いに通心錦《つうしんきん※》の端を持っていた。その中央には、紅繍球《こうしゅうきゅう》が飾られている。 [※新郎新婦が婚礼で使う紅い絹の帯]
シャオレイは、両手で持った絹のうちわ越しに、ユン家の位牌を見つめていた。
(紅繍球《こうしゅうきゅう》は、運命の人の証し。
たしかに、フェイリンとの出会いは運命だったわ……。
少しでもズレていたら、彼には会えなかった。
通心錦《つうしんきん》は、紅い帯で結ばれた証し。
一度は引き裂かれた私たちが、今またこうして結ばれた。
すでに結髪礼《けっぱつれい》を済ませているけれど、今日は改めて、天とフェイリンのご両親へ誓うの。
――私たちが一生添い遂げると……)
その想いを胸に、フェイリンに続いて、シャオレイもひざまずく。
ふたりで、天地の神に向かって頭を下げる。
次に、両親――ユン家の位牌に向かって、ふたりは頭を下げた。
それから向かい合い、頭を下げた。
うちわの陰でゆらゆらと揺れる、シャオレイの歩揺《ほよう》がフェイリンの目に映った。
シャオレイは、通心錦をフェイリンへ渡し、ひとり寝室へ向かった。