小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第95話 歩み始める夫婦(3/7)
◆
シャオレイは、寝台に座ってじっと新郎を待っていた。両手で持ったうちわで、顔を隠している。
何度も一緒に過ごしたフェイリンとの夜なのに、シャオレイの胸は高鳴っていた。
(正式な妻として、夜を迎えるんだわ。
一夜の妻でも、側室でもないのよ……)
そのとき、寝室の扉がゆっくりと開いた。
フェイリンの姿を見た瞬間、シャオレイの鼓動が早くなる。
シャオレイは、透けるうちわ越しに、フェイリンを目で追っていた。
フェイリンは、寝台の前に置いた琴の前に座った。それから、旋律を紡ぎ始めた。それは、まだ後宮の妃だったシャオレイへ弾いた曲だった。
シャオレイは、しみじみと思い出していた。
(あのときは私を慰めてくれて、今は求婚してくれてる。
フェイリンとこんなふうになるなんて、思ってなかったわ……)
弾き終えると、おもむろにフェイリンは立ち上がり、シャオレイの隣へそっと腰を下ろした。
シャオレイはフェイリンのほうを向いたが、顔はまだうちわの陰に隠れている。
しばらくの沈黙の後、フェイリンが詩を詠んだ。
「東風《こち》吹きて 玉輪《ぎょくりん※》にかかる朧《おぼろ》を 払いたり」 [※月の別称]
その詩は、シャオレイの顔を月に、うちわを朧雲に例えたものだった。
シャオレイは、うちわをそっと下ろした。目を伏せたままだが、その口元には白い歯が覗いている。
フェイリンは、卓に置いてある酒器から盃に注ぎ、シャオレイへ手渡した。
ふたりは、目を伏せて腕を交差させ、盃に口をつけて酒を飲み干した。
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シャオレイは、寝台に座ってじっと新郎を待っていた。両手で持ったうちわで、顔を隠している。
何度も一緒に過ごしたフェイリンとの夜なのに、シャオレイの胸は高鳴っていた。
(正式な妻として、夜を迎えるんだわ。
一夜の妻でも、側室でもないのよ……)
そのとき、寝室の扉がゆっくりと開いた。
フェイリンの姿を見た瞬間、シャオレイの鼓動が早くなる。
シャオレイは、透けるうちわ越しに、フェイリンを目で追っていた。
フェイリンは、寝台の前に置いた琴の前に座った。それから、旋律を紡ぎ始めた。それは、まだ後宮の妃だったシャオレイへ弾いた曲だった。
シャオレイは、しみじみと思い出していた。
(あのときは私を慰めてくれて、今は求婚してくれてる。
フェイリンとこんなふうになるなんて、思ってなかったわ……)
弾き終えると、おもむろにフェイリンは立ち上がり、シャオレイの隣へそっと腰を下ろした。
シャオレイはフェイリンのほうを向いたが、顔はまだうちわの陰に隠れている。
しばらくの沈黙の後、フェイリンが詩を詠んだ。
「東風《こち》吹きて 玉輪《ぎょくりん※》にかかる朧《おぼろ》を 払いたり」 [※月の別称]
その詩は、シャオレイの顔を月に、うちわを朧雲に例えたものだった。
シャオレイは、うちわをそっと下ろした。目を伏せたままだが、その口元には白い歯が覗いている。
フェイリンは、卓に置いてある酒器から盃に注ぎ、シャオレイへ手渡した。
ふたりは、目を伏せて腕を交差させ、盃に口をつけて酒を飲み干した。