小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―

第15話 苦渋の決断

第15話 苦渋の決断(1/5)


 夜が深まるにつれて、”七夕の宴”はにぎやかさを増していた。油灯《ゆとう》のあかりが、広間を淡く照らしている。
 ぜいたくで派手な衣をまとった客人たちは、酒を飲むのも忘れて、シャオレイとメイレンにうっとりとしていた。

 ふたりは広間に並んで座り、琴をつま弾いていた。

 メイレンの指が滑るように琴を奏でると、優雅な旋律が広間を包む。

 隣にいるシャオレイもまた、穏やかに絃を弾いていた。

 ――その光景を、フェイリンはじっと見つめていた。にぎわう広間の裏口で、誰にも気づかれぬよう身を潜めている。
 その顔は黒い布で覆われ、素早く動けるように鎧を脱いでいた。

 フェイリンの視線の先にいる、シャオレイの表情は穏やかだ。メイレンと連弾している様子は、親密な義姉妹《しまい》のように見える。

 フェイリンの目が鋭くなった。
(あいつは何をしている?まさか、俺の邪魔をするつもりか……?)

 そのとき――ふっと広間が薄暗くなった。
 一瞬の静けさのあと、周囲にざわめきが起こり始める。
 油灯のほとんどが、突然燃え尽きたのだ。完全な暗闇ではなく、いくつかのあかりはまだ残っている。だが、大勢の人間の視界を奪うのには充分だった。

(……始まったな)
 フェイリンの唇が、わずかにゆがむ。

 この仕掛けは、フェイリンが事前に用意したものだった。油灯の油に特殊な薬を混ぜ、一定時間が経つと、急激に燃焼し尽くすのだ。

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