小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第14話 皇后の影(5/5)


 シャオレイはメイレンと並んで琴の前に座った。

 演奏する曲は、メイレンの十八番《おはこ》だ。

 シャオレイは自らも奏でながら、隣のメイレンの手元を注意を向けた。

 メイレンの調べは、一見優雅だった。会場の文化人たちは演奏に聴き惚れ、ゼフォンも満足げにうなずいていた。

 だが――シャオレイは、瞬時に見抜いた。
(この人は皇后じゃないわ……!)

 シャオレイはかつて、「見て覚えろ」と師匠に叩かれながら、琴を必死で覚えた。
 だから、メイレンとその影武者の琴の糸さばきを見間違うはずはなかった。
(ずっと抱いてた違和感はこれだったのね。
皇后は、刺客の遺体が偽者だと勘付いていたのかしら……?
いえ、そんなことは今はどうでもいい。
フェイリンをはめる罠なのは間違いないわ……!)

 メイレンのほうが一枚上手《うわて》だった。

 シャオレイは、寵姫としてのんびりと過ごしていた前世の自分を呪った。
(前世でも、この宴にいたのは影武者だったのかしら……。
ああ、ちゃんと観察していればよかった。
フェイリンは、きっとどこかでこの場を見張っているはず。お願い、気づいて。
このメイレンは偽者よ――!)

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