仲良し家族は嘘だらけ⁉
「ところで、お前は誰だ?」

「あー……友達です。同じクラスで。みくちゃんのお兄さん、ですよね?」

 斗真くんはおずおずと問いかけた。

 お兄ちゃんはああ、と小さくうなる。

「そういえば、一度見かけたことがあったな。教室で大聖と話してるの」

 斗真くんは「それですそれです」と言って笑いかける。

「僕、お会いしたいと思ってたんですよね」

 いいぞ、斗真くん。このまま私から意識をそらしてもらえれば!

 その隙に私は逃げ出すことができる!

 ところが、私の考えを読み取ったようにお兄ちゃんがガシッと私の腕をつかんだ。

「お、お兄ちゃん?」

「悪いが、みくは帰らせてもらうぞ。これからじっくり自覚を持ってもらわないと」

 自覚っていうのは、次期リーダーのことだろうか。

 何が、とは言っていないけど、帰ったらお説教ルートでは⁉

 わ、わわわ私、ますます帰りたくないんですけど!

「嫌だっ! お兄ちゃん怖い! 無理!」

「無理じゃない!」

 お兄ちゃんは馬鹿力なんだ。

 必死で抵抗してるのに、あれよという間に引きずられていく。

「あはは、過保護なお兄ちゃんだね。みくちゃん、また明日~」

 斗真くんがのんきに手を振っているのが遠く遠くなっていく。

 お兄ちゃんのバカァァァァァ!

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