仲良し家族は嘘だらけ⁉
 突然声が聞こえて、私はげっと顔をしかめた。

 うわさをすれば。

 斗真くんの肩越しに走ってくるのは律兄ちゃんだ。

 バレたか。ここまでは来ないだろうと思ってたのに。

 実は今日も、お兄ちゃんと大聖を振り切ってここまで来たんだ。

 今日は校門を出たところまでついてきて、もう無理かと思ったけど。

 黎明の東雲が忙しいみたいで、二人のスマホにすぐ呼び出しがかかったの。

 私は『絶対にまっすぐ家に帰る』って約束(ぜっっったい守るわけない)をさせられて、やっと別れることができたんだ。

 つまーり、お兄ちゃんはとっても怒っているということ……。

 お兄ちゃんは斗真くんをガン無視してずんずんと歩み寄ってくる。

「いったい何を考えてるんだ! 帰ったら靴もない、カバンもない。周りに聞いてみれば、お前と一緒だったんじゃないのかって言われるし! 肝が冷えるかと……!」

「ひ、ひょえっ」

 これはだいぶお怒りですよぉ!

 斗真くんは血相を変えたお兄ちゃんを見て怪訝そうな顔をする。

 と、横から視線を感じたお兄ちゃんが振り向いた。
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