結婚の決め手は焦げた玉子焼き!?黒豹御曹司は愛する秘書を逃がさない
「あはっ、完璧」
 まるで手を繋いでカフェの隣のカラオケ店へ入って行きそうな角度の写真を上手に取った心愛はニヤッと笑った。
「どうなるのかなぁ~」
 仕事をさぼって営業部の元カレとカフェ。
 
 秘書なのに許されるのかなぁ~?
 でも私がCEOの秘書になるから大丈夫ですよ、負け犬さん。
 心愛は今撮ったばかりの写真を見ながら、上機嫌で会社に戻った。
 
    ◇
 
 大輝がカフェに誘ってくれたが、沙紀は結局カフェに入ることができなかった。
 カフェの入口でやっぱり帰ると告げ、心配してくれた大輝にお礼を言う。
 しばらく乗ることがなかった電車に乗り、暁良のマンションへ。
 カードキーで部屋に入る頃には、なぜか寒気が止まらなかった。
 
「電車が寒かったのかな」
 シャワーを浴び、寝間に着替えてすぐに布団へ。
 
 スケジュールの管理もできない。
 取引先を怒らせるようなメールを送った。
 秘書として最低だ。
 暁良が怒るのも当然。
 沙紀はベッドの横の鏡台に置かれた婚約指輪のケースを見つめた。
 
 私が相手でいいのだろうか?
 秘書もまともにできないのに。
 たとえ一年だけでも、もっといい人と結婚した方が良いのではないだろうか?
 私では暁良の足を引っ張るだけで、なにもできない。
 
「……ごめん……なさい」
 沙紀は布団にうずくまりながらいつの間にか眠ってしまった。
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