結婚の決め手は焦げた玉子焼き!?黒豹御曹司は愛する秘書を逃がさない
 次に目が覚めた時、外は綺麗な夜景だった。
 
「熱は下がったな」
 沙紀のおでこに手を上げた暁良は、よかったと呟く。
「ごめんなさい、会社から帰ってきたら寒気がして、寝ちゃいました」
 まるで数時間だけ昼寝をしたかのような沙紀に暁良は驚いた。
 
「会社から帰ったのは昨日だ」
「え?」
「熱で一日うなされていた」
 あわててスマホの日付を見ると、本当に一日経っている。
 嘘でしょ? なんで?
 
「仕事は」
「大丈夫だ。夏目が全部やってくれた」
 あ……。そうか、そうだよね。
 もともとミスも多いし、夏目さんがフォローしてくれるよね。
 
「なにか食べられそうか?」
 目を伏せてしまった沙紀の顔を暁良は覗き込む。
「作ってくるから、体調がよければ向こうで。話したいことがある」
「あ……はい」
 沙紀の頭をそっと撫で、部屋を出ていく暁良の後ろ姿に、沙紀は不安になった。
 
 話したいことってなんだろうか?
 秘書の仕事もまともにできない私とはやっぱり結婚しないという話かもしれない。
 私は大輝を見返すためだけれど、暁良は何か理由があって奥さんが必要なのにこんな役立たずでは困ると言われたら仕方がない。
 
 もともと一年間だけの契約だし、しがみつくのは間違っている。
 だけど、いつの間に好きになっちゃったんだろう。
 いつからずっと側にいてほしいと思ってしまったんだろう?
 
 やっぱり私は男を見る目がないのかも。
 大輝は残念な男で、暁良は手が届かない高望み。
 
 あ~あ、馬鹿だな、私。
 沙紀はベッドから起き上がると、着替えを持ちシャワーへと向かった。
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