結婚の決め手は焦げた玉子焼き!?黒豹御曹司は愛する秘書を逃がさない
「いいえ。私にやましいことはないので参加します」
「だが」
「秘書としての能力が足りていないことは認めます。でも、こんなやり方をする子に屈したくありません」
 ここで私が会議に参加しなかったら、この写真を認めたことになる。
 そんなのは絶対に嫌だ。

「今日、この後の予定は?」
「次が最後です」
「ではそのあとに、全部の部長を集めた会議を」
 何時でもいいと言われた沙紀は急いで予定を調べた。

「開発部長が本日お休みです。あと企画部長が出張でいません」
「あとは?」
「18時からなら取れます」
「では30分の会議を」
 沙紀は部長全員に会議のスケジュールを飛ばし、会議室も予約した。
 開発部長と企画部長には、緊急ミーティングのため後日共有すると追記。
 他にも用事がある者は不参加でかまわないと添え書きした。

「夏目、先日の証拠一式の準備」
「整っています」
「今回のこの提案書も加えろ」
「わかりました」
 提案書のPDFを取り、証拠書類に加える。

「加賀大輝よりも、こちらの上野心愛が元凶だったんだな」
 あの日、大輝に言われたことがショックで、この子のことはあまり気にしていなかったけれど、大輝と私が別れるようにそそのかしたのがこの子だとしたら。
 私が仕返しすべきだったのは、この子の方だったのかもしれない。

「沙紀、明日顧問弁護士を呼んでくれ」
「はい。何時にお呼びしましょう?」
「今回の関係者と上司を含めた全員と会議ができる時間に」
 営業部の大輝、経理部の上野心愛、IT部の八王子とその上司たち、あと人事部長と顧問弁護士。
 
「16時なら予定が取れそうです。顧問弁護士に連絡します」
「頼む」
 顧問弁護士は13時から来てくれることになった。
 簡単に今回の経緯を夏目が説明してくれたが、明日の13時から証拠を見ながら詳細説明をすることに。

「やっと朝から晩まで沙紀と一緒にいられるようになったのに、なんで邪魔するんだ」
「暁良様、本音が漏れています」
「うるさい。文句のひとつでも言いたくなるだろう」
 五年分の片想いをこんな写真ひとつで台無しにされてたまるかと暁良は吠える。

「……片想いされていたことを打ち明けたのですか?」
「あぁ。結婚に了承してもらった」
「おめでとうございます」
 夏目はなぜか沙紀に「ありがとうございます」とお礼を言う。

「夏目さんはご存じだったんですか?」
「えぇ。五年前から」
 一目ぼれしたと、まだ口説いていないのにアメリカに行きたくないとごねられたと当時を思い出しながら夏目は笑った。

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