結婚の決め手は焦げた玉子焼き!?黒豹御曹司は愛する秘書を逃がさない
 翌日、会議室に関係者が集められた。
 大輝、心愛、IT部の八王子、そしてそれぞれの上司たち。
 暁良、夏目、沙紀はもちろん、人事部長や顧問弁護士までそろう不思議な顔ぶれとなった。
 昨日名前が挙がった経理部の榊原は事情聴取の結果、ただ頼まれただけと判明。
 今回の会議には呼ばないことになった。
 
「では、お集まりいただいた理由を説明いたします」
 夏目の司会で始まり、今回の経緯が説明される。
 スケジュールが削除されたこと、身に覚えのないメールが送付されたこと、隠し撮り写真、防犯カメラの映像、パソコンの操作履歴、そして入退室記録などの証拠が提示されていく。
 
「以上の証拠から、経理部の上野心愛が不正ログインをし、工藤沙紀のスケジュールを削除したり取引先へメールを送信し、会社に損害を与えたと断定します」
 顔面蒼白の大輝、ガタガタ震えるIT部の八王子。
 だが心愛だけはモニタは見ず、うっとりとした顔で暁良をずっと見つめていた。
 
「では、IT部の八王子直哉さん。なぜ上野心愛さんに工藤沙紀さんのパスワードを教えたのでしょうか?」
 IT部長にジロッと睨まれた八王子はゴクッと唾を飲み込んだ。

「ぼ、僕は、心愛ちゃんに頼まれて。工藤さんのパスワードを教えたら、ぼ、僕と付き合ってくれるって、だから」
「パスワードはどうやって調べた?」
「申し訳ありません。IT部では、パスワードがわからなくなった社員からの問い合わせ時に、パスワードをリセットする機能がありまして。そのリセット機能を使用すれば、ITの誰でも個人の現在のパスワードを確認することが可能だと調査の結果わかりました」
 暁良の疑問に答えたのは八王子ではなくIT部長だった。
 IT部長はすでに対策済のため、今後はこのようなことはないと頭を下げた。
 
「では、パスワードを教えたので今は上野さんとお付き合いを?」
「そ、それが、工藤さんが僕と心愛ちゃんが付き合うことに、は、反対してるから。工藤さんを会社から追い出そうって。それで、ぼ、僕は工藤さんを見張ってて、変な時間に帰る日に心愛ちゃんに連絡して」
「6階のサーバールームから秘書室の扉が見えるように廊下の防犯カメラの下に鏡を取り付けておりました」
 鏡は撤去済だとIT部長が再び謝罪する。
 脚立って、このためだったんだ。
 そんなものがあったなんて、まったく気が付かなかった沙紀の身体がブルッと震えた。
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