親友のキミと、あと1ミリの恋


あっという間に時間は過ぎ、文化祭は終わりへと向かっていた。


「みんな、お疲れー」

「あと少し、頑張ろう」


クラス中が達成感と疲労感に包まれる中、私たち装飾担当は、お化け屋敷の解体作業に取り掛かる。


「よいしょ……っと」


私はまだ天井に残っていた飾りつけを外すため、脚立に乗った。


連日の準備で体は疲れていたし、谷原さんと晴人の姿が脳裏に焼きついて離れないせいで、心も動揺していた。


だから、つい手元にばかり集中してしまい、足元がおろそかになっていた私は、うっかり足を一段踏み外してしまった。


「きゃっ……!」


ぐらり、と脚立が大きく揺れ、バランスを崩して体が傾く。


どうしよう……このままでは、頭から床に叩きつけられる。


そう思った次の瞬間──。

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