恋心はシェアできない
入社四年目の悩み
「はぁ……」
私はパソコンの画面から視線を外すと、こめかみを押さえた。
金曜の夜だというのに私は残業を二時間したあと、同期達と暮らしているシェアハウスに帰って来るや否やダイニング兼フリースペースで再びパソコンを広げている。
「企画提出まで一ヶ月もないのに」
私こと、綾川咲希は大手広告代理店であるドロップホールディングスの企画営業部で働いている二十六歳だ。
主な仕事はクライアントからの要望に合わせて広告のデザインとキャッチコピーを考えご提案することだが、今は主にデザイン担当になっている。
(デザインするのも好きだけど)
私が広告代理店に就職を決めたのは、就職活動中にある広告を目にしたからだ。
その広告は電車の車内と構内に大々的に掲示されていて、一目で心を奪われた。
涼しげなブルーの背景に女の子がスプーンを片手にパフェを食べようとしているのだが、そのパフェの中には様々な職業が描かれている。
キャッチコピーは『さぁ──夢をたべよう』
おもに就職活動中の学生に向けた、そのキャッチーな広告を制作したのが今の会社だった。
私はパソコンの画面から視線を外すと、こめかみを押さえた。
金曜の夜だというのに私は残業を二時間したあと、同期達と暮らしているシェアハウスに帰って来るや否やダイニング兼フリースペースで再びパソコンを広げている。
「企画提出まで一ヶ月もないのに」
私こと、綾川咲希は大手広告代理店であるドロップホールディングスの企画営業部で働いている二十六歳だ。
主な仕事はクライアントからの要望に合わせて広告のデザインとキャッチコピーを考えご提案することだが、今は主にデザイン担当になっている。
(デザインするのも好きだけど)
私が広告代理店に就職を決めたのは、就職活動中にある広告を目にしたからだ。
その広告は電車の車内と構内に大々的に掲示されていて、一目で心を奪われた。
涼しげなブルーの背景に女の子がスプーンを片手にパフェを食べようとしているのだが、そのパフェの中には様々な職業が描かれている。
キャッチコピーは『さぁ──夢をたべよう』
おもに就職活動中の学生に向けた、そのキャッチーな広告を制作したのが今の会社だった。
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