恋心はシェアできない
「腹へっただろ? シチュー作るな」
碧生が手に持っていた買い物袋を持ち上げてみせる。
「ほんと? お腹ペコペコ」
「だと思った」
碧生は当たり前のように私の鞄を自分の肩に掛けると、空いてる手で私の手をしっかりと握る。
絡めた指先がまだちょっぴりくすぐったくて、でも心が幸せで満ちていく。
「碧生……」
「ん?」
「ずっと……一緒にいようね」
「俺は早く一緒に住みたい」
「それ、どういう意味?」
「家をシェアしたいってそういうことでしょ」
彼が唇を持ち上げるのを見ながら、私はまだ見ぬ未来に思いを馳せる。
「……じゃあ私、掃除担当」
「俺、料理とゴミ捨て」
「あ、ゴミ捨ててくれるんだ」
「保育園のお迎えもいくわ」
「それ、なんの話」
「そういう割に咲希の顔、真っ赤」
「やめてよっ」
こんな些細な会話でさえも愛おしい。私たちは玄関の扉を開けると同時にその言葉を口にする。
「ただいまー」
「ただいま」
いつか同じ屋根の下で一緒に暮らし、楽しいことも悲しいことも全部分け合いながら幸せに暮らす、そんな未来が待っていますように。
──そんないつかを夢見ながら、私はこの恋心を貴方とずっとシェアしたい。
2025.8.6 遊野煌
※フリー素材です。
碧生が手に持っていた買い物袋を持ち上げてみせる。
「ほんと? お腹ペコペコ」
「だと思った」
碧生は当たり前のように私の鞄を自分の肩に掛けると、空いてる手で私の手をしっかりと握る。
絡めた指先がまだちょっぴりくすぐったくて、でも心が幸せで満ちていく。
「碧生……」
「ん?」
「ずっと……一緒にいようね」
「俺は早く一緒に住みたい」
「それ、どういう意味?」
「家をシェアしたいってそういうことでしょ」
彼が唇を持ち上げるのを見ながら、私はまだ見ぬ未来に思いを馳せる。
「……じゃあ私、掃除担当」
「俺、料理とゴミ捨て」
「あ、ゴミ捨ててくれるんだ」
「保育園のお迎えもいくわ」
「それ、なんの話」
「そういう割に咲希の顔、真っ赤」
「やめてよっ」
こんな些細な会話でさえも愛おしい。私たちは玄関の扉を開けると同時にその言葉を口にする。
「ただいまー」
「ただいま」
いつか同じ屋根の下で一緒に暮らし、楽しいことも悲しいことも全部分け合いながら幸せに暮らす、そんな未来が待っていますように。
──そんないつかを夢見ながら、私はこの恋心を貴方とずっとシェアしたい。
2025.8.6 遊野煌
※フリー素材です。


