【シナリオ】もう一度あなたに恋をする〜ループしてやり直す推しとの大学生活〜

一話

○冒頭
スーツを着てローポニーテールのゆな。
大きな交差点で信号を待つ。
手に持つスマホ画面には『インターン選考結果のお知らせ――誠に遺憾ながら』落選の文字。
ゆな(はぁぁ、またダメだったー!)溜め息
そこに追い打ちをかけるようにスマホが鳴り
『"カナタ"ファンミーティング 申し込み結果――チケットを用意することができませんでした』
というメッセージを受信する。
絶望で顔色が悪くなるゆな。

頭を垂れて肩まで落として落ち込むと
ゆなの周りの人が一斉に騒ぎ出した。
「キャー!!」「危ないぞ!!」
下を向いていたせいで状況を把握できないゆなが
立ち尽くしている場に
居眠り運転をしていたトラックがぶつかる。

轢かれた衝撃で体が浮き上がる中、
ゆな(こんな風に人生終わっちゃうなんて……最後にもう一度カナタに会いたかったな――)
後悔の念にさいなまれながら意識を手放す。

暗転

○事故から時は少しだけ遡り、大学の食堂

パソコンのエンターキーを、パッと力強く押すゆな。
ゆな「あー、やっとできた!」
眠そうに座ったまま背伸びをする。
インターン選考に向けてエントリーシートの入力が完成したところ。

麻衣子「お疲れ〜、インターンって今どれくらいエントリーしてる?」
紗友里「私この前行ったインターン、7社目でやっと受かったよー」
麻衣子、紗友里は大学1年からのゆなの女子友達。
ゆなたちは文学部。
空きコマの間学食で3人でお茶をするのがルーティン。

ゆな「私も10社くらいエントリーして、夏休みに2社行ってきた!
エントリーシートで結構落ちてる……」
ゆな(大学3年生になって半年、
ついこの前までの楽しい学生生活から一気に忙しい就活生に……)
とほほ、と涙目のゆな。

麻衣子「特にゆなの場合、珍しい職種だもんね。
"シナリオライター"。
なんだっけ、"カナタ”だっけ?
この前めっちゃ慌てた推しがきっかけなんでしょ」
ゆなを撫でながら同情する麻衣子。

ゆなはこくこくと激しく頷く。

ゆな(そう、私はゲームのシナリオライターになりたくて
絶賛就活頑張り中!
きっかけは、推しのゲーム実況者の"カナタ"。
RPGでもノベルゲームでも、
登場人物の心情や伏線を漏らさず掬い拾う
エモーショナルな実況スタイルで大人気の
私の大大大好きな配信者。
そんなカナタに自分が作ったゲームをプレイしてもらいたい!)

スマホ画面に映るデフォルメのカナタが実況で涙ぐんでいたり
非道なキャラに怒っている様子に
クスリと笑って和むゆな。

にやけながら
『カナタの心のこもった実況にもらい泣きしちゃった』と
生配信にコメントを打つ。
コメントに気づくカナタ。
カナタ「お、YUNAさん、いつもコメントありがとうー!!
 俺ラストシーン号泣してたもんね、もらい泣きしちゃったかー!」
コメントに返信をもらえて顔を赤くしてときめくゆな。

ゆな(そんなファンを大切にしてくれるカナタが本当に大好き。)

カナタが写ったスマホを抱きしめる。

(ちなみに麻衣子の言った、この前めっちゃ慌ててたっていうのは――)

○回想1 講義前の教室

ゆな「えぇぇぇ!!!」
スマホを見て大声で驚くゆま

麻衣子と紗友里は目を見開いて驚く

ゆな「かかか、カナタが、うちの大学出身だったって――!!!」

授業が始まるまでの時間で
就活に利用できないかなと
自分の大学の卒業生をネット検索していたゆま。

ネット記事を見つける。
『大人気!ゲーム実況配信者 カナタ
 「学生時代からずっとゲームしかしてこなくて――」
 小学〜大学時代を振り返り対談!』というタイトル。

カナタの紹介文中にカナタの出身大学として
今ゆなが通っている大学名が。

カナタとゆなの年の差は3つ。
おととしまでこのキャンパスで
ゆな1年生、カナタ4年生として過ごしていたということ。

ゆな「知らなかった……だっておととしはまだカナタも
本格的に活動してないし……」
ぶつぶつとつぶやきながら落ち込む。

若干引き気味の麻衣子と紗友里に様子を伺われる。

ゆな(早く知ってたら、この前のファンミで
「シナリオライターになってカナタにゲームをプレイしてもらいたい」って
伝えたとき、
同じ大学だったんだよって話もしたかったなぁ――)

○回想2 カナタとのイベントにて
ゆな「私が書いたストーリーのゲームをカナタに実況してほしい!今就活頑張ってるよ!!」
カナタ「すげーいいねそれ、楽しみにしてる!!」

握手しながら一生懸命話すゆなと
嬉しそうに応援するカナタ。

ゆなモノローグ
来年もしイベントがあったら、内定もらったって報告と、
実は同じ大学だったんだよって伝えたい!

だから私は就活に推し活に頑張るんだ!!って、
思ってたのに――

空のカット

○事故の時間軸に戻る
鳴り響く救急車のサイレン
「女性が轢かれた!!」

ゆな(あーあ、夢叶えたかったな――)

○ゆなの実家の部屋

はっとして目が覚めるゆな。
汗だくで顔は真っ青。

ゆな(……えっっ!――あれ、私、車に轢かれて??)

パニックになっていると
部屋のドアが開く。

母親「ゆなー、起きてる?
   今日大学の合格発表ママと一緒に見るんじゃなかったの?」

ゆな(ここ、実家だし、ママいるし……ってか合格発表って何?なんのこと!?)

枕元にあったスマホの画面を慌ててみると、
3年前の日付が表示されている。

ゆま(え!どういうこと――!!?)
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