【シナリオ】もう一度あなたに恋をする〜ループしてやり直す推しとの大学生活〜

二話

○ゆなの実家 パソコンの前

母親「どうかなー、お願いっっ!」
受験番号を入れてクリックしたゆな、横で祈る母親。
後ろから5つ年上の姉も心配そうに見守る。

ひとりぼーっとしてるゆな。

ゆな(あー、この光景2度目だ。
このあと画面に『合格』って表示されて、
喜んだママとおねぇがはしゃぎすぎて、お茶を――)

母親「――ご、合格!!合格だよゆな!」
姉「ゆなすごーい!!!」

ゆな「う、うん」

手を合わせ喜ぶ二人、
体に机にぶつかりお茶が入っているコップがこぼれる。

母親・姉「わぁ!」「きゃあー!」

ゆな(やっぱり、私、過去に戻ってきてる??)


○大学の大教室、オリエンテーション中

教授がなにか説明しているのを
頬杖をついて聞くゆな。

あれから、あれよあれよと
一人暮らしの物件決めにお引越しに、
まるで再放送を見ているかのような日々が過ぎていって――

麻衣子「隣座っていいかな?」
ゆな「もちろん!どうぞ!」

紗友里「私もいいかな……?」
ゆな・麻衣子「ぜひぜひ!」

またこの二人と友達にもなれた。

全く新鮮な気持ちじゃない入学式も終えると
しばらく新しい一人暮らしの家に泊まってたママも
実家に帰っていった。

なんでこんなことになっているのか
最初は戸惑ってばかりだったけど――

麻衣子「ゆな、どっかのサークルの新歓とか行くか決めてる?」

開き直った私は、
そう、今度こそ!!

ゆな「うん!!もう入るサークルも決めてる!『ゲーム同好会』♪」

カナタと学生生活を一緒に送るんだ!!!!――


○新歓の居酒屋

幹事の学生「みんな飲み物持ったー?」

ガヤガヤとしている店内。

オレンジジュースが入ったグラスを片手に
周りを見渡すゆな。

あ、あれ、
カナタはこのサークルに
入ってたってあのネット記事で読んだのに、いない??

「それではかんぱーい!!」

見つけられないまま
40人程度の飲み会がスタートしてしまう。

オレンジジュースを半分ほど飲み干す。
ゆま(そっか、またあと1年半くらいお酒飲めないんじゃん……)
そんなに強いわけじゃないけど、果実酒とかが好きで
ループ前は飲んでいたゆな。


(あきら)「あの、一年生だよね?」
隣りに座っていた女子に話しかけられる

ゆな「う、うん!!」
このこ可愛い!
瑛…小さくてふわふわのロングと眉上の前髪

一度目の大学生活ではできなかった友達ができ
人間関係が広がる。

目の前のサークルメンバーと会話し
仲良くなることを楽しむゆな。

ふと同じテーブルの先輩に好きなゲームは?と聞かれて
ゆなが答えると

3年生男子「あ、それ奏汰(そうた)さんも好きって言ってたやつだ!」

奏汰、さん……?

3年生男子「奏汰さーん!好きって言ってるゲームおんなじ一年の子いますよ!」

呼ばれてこっちに来たのは
黒髪が目にまでかかって少し顔が見えづらい細身の男性

奏汰「え、君もあの作品好きなの?」

顔は見えづらいけど
感情豊かな声色で
わくわくしながらゆなに話しかける奏汰。

声で一発でわかった。
"カナタ"だ!!!!!

配信者のときとは全く違う容姿。
└配信者としてのカナタは前髪はかきあげていて茶髪、爽やかな顔立ち

驚いて声が出せないでいると

(とおる)「奏汰の勢いに一年生ちゃん引いちゃってるじゃん」

同じくこっちに移動してきた透が
前のめりになっている奏汰をいさめる。

透…奏汰の小学校からの同級生
 同じゲーム好きとして当時から仲良くしてた。
 中学〜高校は離れてしまったけど大学で再会。
 今どきのオシャレ男子で髪をかきあげて爽やか。

透の外見のほうが
ゆなの知っているカナタに似ていて
まじまじ見てしまう。

2年生女子「……ゆなちゃん、だよね?透さんかっこいいよね!」
隣りに座ってた先輩女子がゆなにこっそり耳打ち。
先輩たちも参加者の一年生も
手書きの即席名札をつけている。

「あ、いや、私はそんなんじゃなくて……!」

どうやら、あんなに女子ファンもたくさんいたカナタだけど
奏汰として今は全くモテてない模様。

※奏汰の配信者の時の容姿が透に似ているのは
大学卒業後にカナタとして活動を本格化させるとき
透の身だしなみを参考にしたから。
だから在学中はモテなかった。

他の新入生の女子も透に頬を染めているが
ゆなは
(カナタ……いや、奏汰さんっていうんだ!
もさくてもかわいい〜〜!)となる

ゆなとしては実況で聞き慣れた声で
他のサークル員と楽しそうに話す奏汰。
4年生の奏汰はアルコールを飲んでいて、
少し酔って気分が良さそうな雰囲気。

目で追ってしまっていたゆなと目が合い

奏汰「さっきはびっくりさせちゃってごめんね?」
少し潤んだ瞳と耳元での低音癒やし系ボイスに
きゅんとしてしまい失神寸前のゆな。


ゆな「あ、いえ!!あの、私、えっと――」
うまく話せないでいると
3年男子「ゆなちゃん顔見えないけど奏汰さん怒ってないからね」
とけらけら笑う

奏汰「そ、そうだよ!俺全然怒ってないからね、ゆなちゃん」
下の名前で呼ばれて
キュンとしすぎて涙目のゆな。

し、幸せすぎる――!!

新歓で知り合いになろう作戦大成功

喜びに浸るゆなに
涙目になったのは勝手に酒のんだんじゃないの?
と透がからかってきて
ゆな「ち、違います!!!」

この人(透)は苦手かもだけど、
私奏汰さんが卒業するまでに
このサークルで絶対もっと仲良くなる!
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