(マンガシナリオ) 白雪姫は喋らないー口下手な姫くんは怖そうだけど優しいですー
12話 本当に何もなかったお姫様
「おはようさん、昨日の飲み会どうやった?」
「あ、おはよう……良二くん……」
「……おはようございます」
朝、起きた姫くんは驚くほどスムーズに私に謝り始めた。
どうやら昨日のことは覚えてはいたようだけど自分がした行動があまりにも衝撃だったようだ。
私はそんな姫くんを何とか起き上がらせるととりあえずシャワーだけお借りしたいという伝を伝え、二人とも順番にシャワーを浴びると適当に朝食を食べてそのまま大学へ登校した。
救いは今日が昨日と同じ科目の講義を受ける予定だった為教材がそのままでも良かったという点だろうか。
そして大学到着早々に出待ちのように待っていた良二さんに捕まった次第。
「っていっても俺もう聞いてもうたんやけどな、姫がりんごちゃんのことお持ち帰りしとったーって、わーきゃー持ちきりやった、で……ってお前ホンマに持ち帰ったんか?」
途中まではからかうような口振りだった良二さんが途端に姫くんに詰め寄り始める。
「あ、え……?」
「だってなんでお前ら二人から同じシャンプーの匂いがするねん! 姫、俺は悲しいで、卒業するときは俺にいち早く教えるって約束忘れたん――」
「り、り、良二くん! ち、違う……違うよ……!」
驚いた様子の姫くんに掴みかからん勢いで問い詰める良二くんを話が危うい方向に行きかけたところで必死で姫くんが窘め始める。
そう、シャワーは借りたけど特段何かやましいことは何一つない。
それが揺るぎない事実だ。
「言い訳は通じへんからな! これメンズシャンプーの匂いやもん!」
「いや、本当に……何も、なかったんだよ……」
「信じへん!!」
「あはは……」
問い詰められれば問い詰められる程に元気を失う姫くんと良二さんのやり取りを見て、私はただ笑うことしか出来なかった。
「……」
昼食の時間、約束している姫くんが来るのを待ちながら昨日のことを少し思い出していたとき
「どもー、朝ぶりやね」
「あ、良二さん、どうしたんですか?」
姫くんではなく良二さんがひょっこりと現れて声をかけてくる。
「いやー、姫のやつ口固くてなー、何もない何もないしか言わへんのよ、やからりんごちゃんに聞こ思て、教室に姫置いて先に来たんよ」
「……姫くん、無事ここまでたどり着けますかね」
良二さんにこれから問い詰められることよりも果たして姫くんがここまでたどり着けるのか、その方が地味に心配だった。
「やっっぱり! おかしいやん、姫くん呼びになっとるやん、あいつもりんごさん言っとったし! なんであいつ俺に隠すねん……」
「いや、その、本当に何もなかったんですよ……」
だけど私が姫くん呼びした途端にまたヒートアップする良二さんに苦笑いしながらそう返す。
というかそう返すしか出来ないだけだけど。
「……どゆこと?」
さすがに私の言葉は信じるのか良二さんは本腰をいれるように椅子に座りながら問いかけてくる。
「飲み会を途中抜けしたのは事実ですし、姫くんに家に帰したくないって言われたのも事実です」
そう、その二つは確かに事実ではある。
「それならやっぱり……!」
「でもそこまでなんです」
「は?」
良二さんがは?って言いたくなる気持ちはよく分かる。
「それで、家にお邪魔して、壁に貼ってある写真の話をして、頭に……キスされて、抱き締められて、その後は、姫くんソファに直行して快眠してました」
そして私は隠すことなく全て赤裸々に吐き出す。
聞かれて恥ずかしいことはないし、何より誰かに聞いてほしかったのも事実。
「あいつ、そこまでしといて放置して寝たんか……」
良二さんの驚いたような言葉にやっぱり、そういう感想になりますよねって感じはする。
「まぁ、そうなりますね……でも頭へのキスって親愛とか、そういう意味合いが強いみたいですからきっと他意はなかったんだと、帰らせたくないってのも飲み会のことで私も情緒安定してなかったから心配だったから、とかじゃないですかね」
そう、眠れないまま放置されたので色々と調べる時間は存分にあった。
まず調べたのは頭、髪の毛へのキスの意味合い。
どのサイトにも親愛を示すことがあると書いてあったからまだワンチャンそういう対象ではなく友達として心配だったから、とかそういう可能性は捨てきれなくもない、はず、うん。
「……」
「……どういう顔ですかそれは」
そんなことを考えていれば目の前の良二さんは苦虫を噛み潰したような顔をしていて、意図は察しつつも突っ込むだけにする。
「いや、そこまでされたら何もない思わんやろ普通、それにあいつから姫って呼ぶよう言われたんやろ?」
「まぁ、そうですね」
昨日、酒の勢いとはいえ姫くん本人からそう呼んで欲しいと言われたのは事実だ。
「あいつ姫って呼ばれるの嫌いやねん、それこそ俺とかそんくらい仲良いやつにしか許さんねん、姫呼びするの」
「……へぇ」
それは、初めて知った事実だ。
それを聞いて少しだけ嬉しくなってしまったのもまた、事実として受け止める。
「つまり! そこから導き出される答えは――痛っ!」
「そ、そこまで……」
私は良二さんの次の言葉をすっかり待ってしまっていたが残念なことにそれは姫くんに良二さんが後ろから小突かれたせいで聞くことは出来なかった。
「姫くん! よくたどり着けましたね……」
だがどちらかと言うとこの短時間で姫くんがここまでたどり着けたことのほうが驚きは大きい。
「が、頑張ったから……それより良二くん……その先は……自分で、言うよ……」
「おー、頑張れやー」
姫くんの言葉を聞いた良二さんは笑ってエールを送る。
やっぱり仲良いんだなって、いつも少しだけ嫉妬しちゃってるのは、内緒だ。
「行こう、りんごさん」
「あ……うん!」
だけど、姫くんがそう言って迷わず私の手を掴んでくれたから、それだけで少しだけ、嬉しくなってしまったのもまた、本当のことだ。
「あ、おはよう……良二くん……」
「……おはようございます」
朝、起きた姫くんは驚くほどスムーズに私に謝り始めた。
どうやら昨日のことは覚えてはいたようだけど自分がした行動があまりにも衝撃だったようだ。
私はそんな姫くんを何とか起き上がらせるととりあえずシャワーだけお借りしたいという伝を伝え、二人とも順番にシャワーを浴びると適当に朝食を食べてそのまま大学へ登校した。
救いは今日が昨日と同じ科目の講義を受ける予定だった為教材がそのままでも良かったという点だろうか。
そして大学到着早々に出待ちのように待っていた良二さんに捕まった次第。
「っていっても俺もう聞いてもうたんやけどな、姫がりんごちゃんのことお持ち帰りしとったーって、わーきゃー持ちきりやった、で……ってお前ホンマに持ち帰ったんか?」
途中まではからかうような口振りだった良二さんが途端に姫くんに詰め寄り始める。
「あ、え……?」
「だってなんでお前ら二人から同じシャンプーの匂いがするねん! 姫、俺は悲しいで、卒業するときは俺にいち早く教えるって約束忘れたん――」
「り、り、良二くん! ち、違う……違うよ……!」
驚いた様子の姫くんに掴みかからん勢いで問い詰める良二くんを話が危うい方向に行きかけたところで必死で姫くんが窘め始める。
そう、シャワーは借りたけど特段何かやましいことは何一つない。
それが揺るぎない事実だ。
「言い訳は通じへんからな! これメンズシャンプーの匂いやもん!」
「いや、本当に……何も、なかったんだよ……」
「信じへん!!」
「あはは……」
問い詰められれば問い詰められる程に元気を失う姫くんと良二さんのやり取りを見て、私はただ笑うことしか出来なかった。
「……」
昼食の時間、約束している姫くんが来るのを待ちながら昨日のことを少し思い出していたとき
「どもー、朝ぶりやね」
「あ、良二さん、どうしたんですか?」
姫くんではなく良二さんがひょっこりと現れて声をかけてくる。
「いやー、姫のやつ口固くてなー、何もない何もないしか言わへんのよ、やからりんごちゃんに聞こ思て、教室に姫置いて先に来たんよ」
「……姫くん、無事ここまでたどり着けますかね」
良二さんにこれから問い詰められることよりも果たして姫くんがここまでたどり着けるのか、その方が地味に心配だった。
「やっっぱり! おかしいやん、姫くん呼びになっとるやん、あいつもりんごさん言っとったし! なんであいつ俺に隠すねん……」
「いや、その、本当に何もなかったんですよ……」
だけど私が姫くん呼びした途端にまたヒートアップする良二さんに苦笑いしながらそう返す。
というかそう返すしか出来ないだけだけど。
「……どゆこと?」
さすがに私の言葉は信じるのか良二さんは本腰をいれるように椅子に座りながら問いかけてくる。
「飲み会を途中抜けしたのは事実ですし、姫くんに家に帰したくないって言われたのも事実です」
そう、その二つは確かに事実ではある。
「それならやっぱり……!」
「でもそこまでなんです」
「は?」
良二さんがは?って言いたくなる気持ちはよく分かる。
「それで、家にお邪魔して、壁に貼ってある写真の話をして、頭に……キスされて、抱き締められて、その後は、姫くんソファに直行して快眠してました」
そして私は隠すことなく全て赤裸々に吐き出す。
聞かれて恥ずかしいことはないし、何より誰かに聞いてほしかったのも事実。
「あいつ、そこまでしといて放置して寝たんか……」
良二さんの驚いたような言葉にやっぱり、そういう感想になりますよねって感じはする。
「まぁ、そうなりますね……でも頭へのキスって親愛とか、そういう意味合いが強いみたいですからきっと他意はなかったんだと、帰らせたくないってのも飲み会のことで私も情緒安定してなかったから心配だったから、とかじゃないですかね」
そう、眠れないまま放置されたので色々と調べる時間は存分にあった。
まず調べたのは頭、髪の毛へのキスの意味合い。
どのサイトにも親愛を示すことがあると書いてあったからまだワンチャンそういう対象ではなく友達として心配だったから、とかそういう可能性は捨てきれなくもない、はず、うん。
「……」
「……どういう顔ですかそれは」
そんなことを考えていれば目の前の良二さんは苦虫を噛み潰したような顔をしていて、意図は察しつつも突っ込むだけにする。
「いや、そこまでされたら何もない思わんやろ普通、それにあいつから姫って呼ぶよう言われたんやろ?」
「まぁ、そうですね」
昨日、酒の勢いとはいえ姫くん本人からそう呼んで欲しいと言われたのは事実だ。
「あいつ姫って呼ばれるの嫌いやねん、それこそ俺とかそんくらい仲良いやつにしか許さんねん、姫呼びするの」
「……へぇ」
それは、初めて知った事実だ。
それを聞いて少しだけ嬉しくなってしまったのもまた、事実として受け止める。
「つまり! そこから導き出される答えは――痛っ!」
「そ、そこまで……」
私は良二さんの次の言葉をすっかり待ってしまっていたが残念なことにそれは姫くんに良二さんが後ろから小突かれたせいで聞くことは出来なかった。
「姫くん! よくたどり着けましたね……」
だがどちらかと言うとこの短時間で姫くんがここまでたどり着けたことのほうが驚きは大きい。
「が、頑張ったから……それより良二くん……その先は……自分で、言うよ……」
「おー、頑張れやー」
姫くんの言葉を聞いた良二さんは笑ってエールを送る。
やっぱり仲良いんだなって、いつも少しだけ嫉妬しちゃってるのは、内緒だ。
「行こう、りんごさん」
「あ……うん!」
だけど、姫くんがそう言って迷わず私の手を掴んでくれたから、それだけで少しだけ、嬉しくなってしまったのもまた、本当のことだ。