(マンガシナリオ) 白雪姫は喋らないー口下手な姫くんは怖そうだけど優しいですー
4話 カメラの好きなお姫様
「……持ってきたはいいものの、やっぱり撮れる気がしないなー」
私は次の日少しだけ迷いながらも久しぶりにカメラを持って大学を訪れていた。
「これも、違う気がする……」
一人ぼやきながら花壇の花をカメラのレンズで捉えてみるもののシャッターを押すことなくレンズを下ろす。
「これも……」
次に写したのは一本の針葉樹とベンチ。
だけどそれも何か違うような気がしてしまいシャッターは下ろさず仕舞い。
「……はぁ」
昔は、こんなことなかった。
好きなものを撮って、それが楽しかった筈なのに、撮れなくなったきっかけは写真サークルに入ったことだ。
転校続きで友達を作るのが得意じゃない私が大学で友達を作るために入ったのが写真サークル。
だけど未だにぼっち飯を極めているのだからその作戦は成功したとは言いがたい。
むしろ、失敗だと言いきれるかもしれない。
「はぁ……って、わ! し、白雪くん!?」
地面に生える芝生からカメラレンズをあげると思わぬ人物が写りこんでつい驚いて一歩後ろに下がるとそのまま足を取られてしまう。
転ける、そう思ったけど
「あっ…………ご、ごめ……おどろ……すつもりは……」
白雪くんはそんな私の手を掴んでよろけるのを止めてくれた。
でも私がたち直したのを確認すると白雪くんはすぐに慌てて私から手を離すとおろおろしながらそうこぼす。
「いやこっちこそごめんね、急にいたから驚いちゃった、どうしたの?」
「……か、カメラ……」
体制を立て直した私がそう問いかければ白雪くんは私の持っているカメラを控えめに指差す。
「カメラ?」
「…………再開、したん、……だね」
「あ、え、よく、知ってるね……」
再開した、という言葉につい、大きく息を飲んでしまった。
別になんで知ってるんだって引いたわけじゃない。
まぁ、それなりに有名な白雪くんはともかく私なんかのことをしっかり知っていたことに驚きはしたけれど、それよりも私が最近カメラをやめていたことを知っていたことに驚いたのだ。
「あ、いや、その……違っ……お、オレも……」
「それ白雪くんの?」
私がどう取ったのか勘違いしたのか白雪くんはより口ごもりながら自身のカバンからひとつのカメラを取り出す。
それは年期の入った一眼レフだった。
古い型のものだけどよく手入れされているのが分かる。
「……そう、オレも、撮るんだ……朱谷さんの写真は……展示会で、見たことあった……から」
「そう、なんだ……」
展示会、というワードが出たことでつい、またこちらも口がよどんでしまう。
白雪くんも写真を撮るんだ! って普通に会話したかったのに、少しだけ嫌なことを思い出したせいだ。
「あ、ご、ごめ……忘れて……」
「あ、ちょっと待って白雪くん!」
それを自分と会話することの否定だと思ったのか白雪くんはすぐにカメラをカバンにしまいこんで去っていってしまおうとするから、気付いたら私は呼び止めていた。
「……な、なに?」
「良ければなんだけど、一枚撮らせてくれないかな……?」
こちらを向いた白雪くんに、私はカメラを視線の辺りまで持ち上げてそう、問いかけていた。
私は次の日少しだけ迷いながらも久しぶりにカメラを持って大学を訪れていた。
「これも、違う気がする……」
一人ぼやきながら花壇の花をカメラのレンズで捉えてみるもののシャッターを押すことなくレンズを下ろす。
「これも……」
次に写したのは一本の針葉樹とベンチ。
だけどそれも何か違うような気がしてしまいシャッターは下ろさず仕舞い。
「……はぁ」
昔は、こんなことなかった。
好きなものを撮って、それが楽しかった筈なのに、撮れなくなったきっかけは写真サークルに入ったことだ。
転校続きで友達を作るのが得意じゃない私が大学で友達を作るために入ったのが写真サークル。
だけど未だにぼっち飯を極めているのだからその作戦は成功したとは言いがたい。
むしろ、失敗だと言いきれるかもしれない。
「はぁ……って、わ! し、白雪くん!?」
地面に生える芝生からカメラレンズをあげると思わぬ人物が写りこんでつい驚いて一歩後ろに下がるとそのまま足を取られてしまう。
転ける、そう思ったけど
「あっ…………ご、ごめ……おどろ……すつもりは……」
白雪くんはそんな私の手を掴んでよろけるのを止めてくれた。
でも私がたち直したのを確認すると白雪くんはすぐに慌てて私から手を離すとおろおろしながらそうこぼす。
「いやこっちこそごめんね、急にいたから驚いちゃった、どうしたの?」
「……か、カメラ……」
体制を立て直した私がそう問いかければ白雪くんは私の持っているカメラを控えめに指差す。
「カメラ?」
「…………再開、したん、……だね」
「あ、え、よく、知ってるね……」
再開した、という言葉につい、大きく息を飲んでしまった。
別になんで知ってるんだって引いたわけじゃない。
まぁ、それなりに有名な白雪くんはともかく私なんかのことをしっかり知っていたことに驚きはしたけれど、それよりも私が最近カメラをやめていたことを知っていたことに驚いたのだ。
「あ、いや、その……違っ……お、オレも……」
「それ白雪くんの?」
私がどう取ったのか勘違いしたのか白雪くんはより口ごもりながら自身のカバンからひとつのカメラを取り出す。
それは年期の入った一眼レフだった。
古い型のものだけどよく手入れされているのが分かる。
「……そう、オレも、撮るんだ……朱谷さんの写真は……展示会で、見たことあった……から」
「そう、なんだ……」
展示会、というワードが出たことでつい、またこちらも口がよどんでしまう。
白雪くんも写真を撮るんだ! って普通に会話したかったのに、少しだけ嫌なことを思い出したせいだ。
「あ、ご、ごめ……忘れて……」
「あ、ちょっと待って白雪くん!」
それを自分と会話することの否定だと思ったのか白雪くんはすぐにカメラをカバンにしまいこんで去っていってしまおうとするから、気付いたら私は呼び止めていた。
「……な、なに?」
「良ければなんだけど、一枚撮らせてくれないかな……?」
こちらを向いた白雪くんに、私はカメラを視線の辺りまで持ち上げてそう、問いかけていた。